2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on the connection between building technical history and architectural history from a tectonic perspective
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21K14340
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Research Institution | Nippon Bunri University |
Principal Investigator |
木村 智 日本文理大学, 工学部, 准教授 (60846806)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テクトニック / 鉄筋コンクリート / ローマ万国博覧会 / アーチ / イタリア合理主義 / ファシズム建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
1942年に開催予定であったローマ万国博覧会のための建築群は、ファシズム建築の象徴として、近代建築史上に位置付けられていた。アーチという古典ローマ帝国の建築様式に見られる造形が各パビリオンに利用されていた。そのように古典主義を再興する、またその時のイタリアの権力を復活するという目的のもとで、各パビリオンが設計されている。しかし、アーチなどの古代ローマ帝国時の様式や国家的勢力を単に復興・継承しただけだったのだろうか。 本研究は第二次世界大戦の終戦時の建設技術状況・建築的到達点を理解するために、これまで重要視されることが少なかった未実施のプロジェクト案について、図面情報から3Dモデリング等を行なって、計画案を評価する。さらに、建築史上の位置付けを再構築するなど、建築技術史的観点から、新たな建築史を描くものである。 これらローマ万国博覧会のパビリオン群の意義を再定義するために、本研究では「帝国のアーチを中心とするローマ万国博覧会のパビリオン群はいかなる材料でつくられていたのか」と「それが建設技術史と建築史においてどういった意味を持つのか」という2つの論点を中心に考察していく。 今年度は、ピエル・ルイジ・ネルヴィだけではなく、アダルベルト・リベラやジュゼッペ・パガーノらのローマ万国博覧会への関わりについて、文献調査を行い、その全容を把握することを試みた。日本で手に入るものについては建築図面を読み込むことで、その建築物・構造物に使用された材料の適用意図を読み取り、前述の論点に答えるための資料整理を行った。 次年度はそれらを類型化し、特徴的な材質・形状については同時期に計画された建築のそれらと比較することで、同時代に共有されていたもの・同時代においても特異であったものを分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イタリアのローマの南側にあるエウル(EUR)にある会議場と文明博物館と、イタリア国立21世紀美術館(MAXXI)などに保管されているローマ万博関連資料の収集と関連建物の実測調査を行う予定であったが、コロナ禍における渡航制限によって現地調査を実施することができなかった。そのため、日本国内で入手可能な資料での分析を始めながら、現地調査が行えない場合でも研究可能な資料収集の方法や、分析方法などを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航制限が解除された後に、現地にて資料収集を行う。制限期間中は引き続き日本国内で入手できる文献の調査・分析を進め、帝国のアーチに関する言説の分析と、特徴的な材質であるファシズム型のローマン・コンクリートの特徴を把握することで、同時代に同様に試みられていた技術との相違を特定する作業を進める予定である。
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Research Products
(4 results)