2021 Fiscal Year Research-status Report
羽ばたかずに羽ばたくー非定常空気力学に基づく能動的気流制御システムの確立ー
Project/Area Number |
21K14343
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 慎太郎 東北大学, 工学研究科, 助教 (60869650)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 非定常空気力学 / 羽ばたき飛行 / 能動的気流制御 / プラズマアクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
飛翔生物の羽ばたき動作を模擬する新しい手法として、本研究では固定翼に可動部を持たない気流制御デバイスであるプラズマアクチュエータを搭載し、非定常的に発生する揚力の制御を試みる。初年度では、簡単化のために2次元的な翼を想定し、羽ばたき飛行において重要であると考えられている前縁剥離渦の構造をプラズマアクチュエータを用いて誘起できることを数値計算を用いて実証した。プラズマアクチュエータが生成する電気流体力が流れ場に付与することで、翼の羽ばたき動作によって生じる流れ場と類似した構造が再現できることを確認した。さらに、プラズマアクチュエータの駆動条件や流れ場の条件を変化させた時の計算を実施し、非定常的な空力特性の評価を行った結果、固定翼周り流れにおいて前縁剥離渦を積極的に発生させることで空力特性が向上することを確認した。これによって、従来のプラズマアクチュエータは剥離抑制によって空力性能を向上させてきたが、寧ろプラズマアクチュエータを用いて流れを積極的に剥離させることで翼の性能を向上できる可能性が示唆された。 今後は、流れの3次元的な渦構造について詳細に検討するために Large Eddy Simulation 解析の実施および実証実験を行う予定である。その後、飛翔生物が誘起しているような複雑な3次元渦構造に着目し、3次元翼上に配置されたプラズマアクチュエータ素子群によって任意の次空間分布を持つ電気流体力を発生させることで翼の空力特性を大幅に向上させる手法について検討する。それにより、従来の翼理論の範疇を越える新たな非定常翼理論を確立し、革新的な飛行手法の提案を目標とする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画の通り、2次元的な翼を想定し、固定翼上でプラズマアクチュエータを駆動させることで前縁剥離渦を誘起できることを数値計算によって確認することができたため、期待通りの成果が得られている。 また、3次元の数値計算および実証実験の実施に向けた準備も同時並行で進めることができているため、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度では、3次元的な渦構造について詳細に調査するために Large Eddy Simulation 解析を実施し、前縁剥離渦構造が翼の非定常的な空力特性に与える影響を明らかにしていく。さらに、実証実験を実施し、3分力天秤による空気力計測と Particle Image Velocimetry 計測を行うことで、数値計算で得られた結果とあわせて非定常的な空力特性を積極的に利用した革新的な飛行理論の構築を目指す。
|