2021 Fiscal Year Research-status Report
大規模膜面展開構造物上の多点センシングを可能にする宇宙用RF-SOFの実現
Project/Area Number |
21K14344
|
Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
宇佐美 尚人 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (70881225)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 膜面展開構造物 / LSI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では将来の膜面展開構造物の高機能化に不可欠な、軽量かつ柔軟なワイヤレスセンサノードを実現可能な技術、即ち宇宙用RF-System-on-film (RF-SOF)デバイス技術を構築・実証する。この大目標に向けて、下記のサブタスクに分割している:すなわち①実装技術の確立②熱・放射線観点からの層構造設計手法の確率③LSIを含めたRF-SOFの電気的なシステム設計の確立、以上の三つのサブタスクの達成をもってRF-SOFデバイスの実現を目指す。 本年度は機関異動に伴う研究環境の再構築、及び層構造設計の検討に取り組んだ。研究環境の整備については東京大学武田CR所有の各種製造装置へのアクセスを得た他、ソフトウェア無線によるワイアレスセンサノードの検証環境の確立、VNAや電波暗室等のアンテナ測定環境の確立およびアクセスの確保を行った。層構造については有機薄膜上へ熱特性制御のための薄膜形成の際の応力を評価するための手法の深化に取り組んだほか、有機薄膜上へ実装されたLSIへの放射線の影響について検討した。特に放射線については、膜面展開構造物上へ実装されるLSIのドーズ量は1Mradを超え、衛星搭載用コンポーネントに求められる通常のTID耐性の10から100倍大きいことが分かった。そのため、LSIの耐放射線化についても達成すべき項目であると峻別した。これを踏まえ軌道上実証に際しては、耐放射線設計を施したLSIの開発を得て実行すべきものとし、かつ人的リソースを鑑みて今後は上記のサブタスクの達成を優先するものとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目は機関異動に伴い、前提としていたLSI設計試作環境、実装実験環境、および電気試験の環境を再構築する必要が生じた。各種努力によって、LSI設計環境、実装実験環境、及びVNAを含めた電気試験環境を用意することができた。通信実験のためのソフトウェア無線技術を習得し、今後のワイアレスセンサノードの試験が可能となった。応力測定についてもセンサを試作し、実際に有機薄膜上での製膜に利用する可能性のあるALDアルミナ膜の応力の評価を行った。応力評価センサについては国内会議で発表を行った。また、層構造の検討においても放射線影響が当初考えていた値から10から100倍大きいことから、今後の課題としてLSIの耐放射線設計を峻別することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず層構造の熱設計に取り組む。熱設計を通じてLSIの実装部分の温度範囲を明らかにすることで、ACAやフィリング材等への温度要求を明らかにし実装技術の選定を行うことを可能とする。そのうえで、コロナ禍の下で滞っていた実装技術の確立に取り組む。並行して、RF-COFのシステムの設計とBBMレベルでの実証に取り組む。これにより、LSIに求められる機能を明らかにした上で、さらに先の年度での設計製作につなげる。
|
Causes of Carryover |
30円の有効な使い道を発見することができず、来年度以降の消費税等に充てるのが最適であると判断したため。よってこの30円は来年度、少額物品の消費税相当額として充当する。
|
Research Products
(1 results)