2022 Fiscal Year Research-status Report
超小型探査機に向けた可変形状ソーラーセイルの推進剤フリーな軌道・姿勢同時制御
Project/Area Number |
21K14345
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中条 俊大 東京工業大学, 工学院, 助教 (80808618)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超小型探査機 / ソーラーセイル / 軌道制御 / 姿勢制御 / 可変形状機能 / 軌道設計 / 三体問題 / 四体問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,前年度に検討を開始した,一軸ジンバル付きの傘型ソーラーセイルの軌道・姿勢同時制御に関する検討をブラッシュアップした.所望の軌道制御を実現するために適切な姿勢を平衡点(トルクフリーな姿勢)とするジンバル角の解析解を導出し,リアクションホイールを組み合わせた制御則の構築と安定性解析,セイルの変形などのモデル誤差の影響の評価,推進剤フリーなアンローディングの方法の考案と検証を行った.さらに,軌道・姿勢同時制御の制御フローを具体化し,太陽-地球系ラグランジュ点周りの周期軌道におけるあるミッションシナリオの中での制御の成立性をシミュレーションにより確認した.この内容は国際会議にて発表した. また,前年度に引き続き,超小型ソーラーセイル探査機によるミッション設計に資する,太陽-地球系および地球-月系ラグランジュ点周辺の(準)周期軌道に関する解析を行った.特に,地球-月系ラグランジュ点周辺において,ソーラーセイルの積極的な姿勢制御を取り入れることで初めて成立する,月の裏側の観測に適した新たな軌道を見出し,その設計法の考案と特性調査を行った.従来研究では月の裏側近傍に滞在するには非常に大きなソーラーセイルが必要であるとされてきたが,姿勢制御を積極的に行えば小さなソーラーセイルでも軌道が成立することを示した. 他にも,学術雑誌に投稿した前年度の研究成果が掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた可変形状ソーラーセイルの軌道・姿勢同時制御理論の基礎部分の確立については概ねできたと考えており,安定性解析や新たなアンローディング方法の考案については当初の計画以上の進捗である. また,超小型ミッションへの適用を見据えたラグランジュ点近傍における軌道設計については,当初予定していなかった新たな準周期軌道の考案ができており,本研究で提案している可変形状ソーラーセイルの発展性を一層示せることとなった. 一方,当初予定していた項目のうち,柔軟なセイルの振動の影響に注目した姿勢マヌーバ中の過渡的状態の評価については,研究に取り組む中で優先度が低いと判断し着手していない.また,前年度に定めた予定項目のうち,小型電気推進系を使用する際の姿勢制御則の検討についても,研究スケジュールの都合上未着手のままとなってしまった.しかし,総合的に判断し,当初の計画と比較するとそれ以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
可変形状ソーラーセイルの応用ミッション策定のために,ラグランジュ点近傍の軌道設計に関するさらなる解析を行う.これまで半ば断片的に行ってきた軌道設計を包括的に解析し,ラグランジュ点近傍で超小型ソーラーセイル探査機により実現可能なミッションを体系的にまとめあげる.また,可能であれば新たな周期軌道等を見出すことを目指した解析を行う.
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 超小型ソーラー電力セイルによる深宇宙航行技術実証計画2022
Author(s)
中条 俊大, 高尾 勇輝, 多々良 飛鳥, 渡邉 奎, 安田 萌恵, 小林 大輝, 中嶋 哲大, 木下 幹大, 荒井 湧介, 上野 晟太郎, 森 治, 宮崎 康行, 松下 将典, 杉原 アフマッド清志, 鳥居 航, 冨木 淳史, 津田 雄一, 佐伯 孝尚, 松永 三郎
Organizer
第66回宇宙科学技術連合講演会