2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of large-scale structure of sonic boom based on fast full-field CFD using space marching method
Project/Area Number |
21K14349
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
山下 礼 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (20804644)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソニックブーム / 全空間シミュレーション / 数値流体力学 / CFD / 空間進行法 / 超音速流 / 衝撃波 / カットオフ |
Outline of Annual Research Achievements |
超音速機から発生するソニックブームは、準1次元音響解析で評価されてきたが、その適用範囲は衝撃波が回折する前までに限定されている。本研究の目的は、空間進行法を用いた全空間・高速シミュレーション法を構築し、ソニックブームが回折して消失するまでの3次元空間内での挙動を明らかにすることである。 本年度の成果は以下の通りである。 1)昨年度構築した全空間・高速シミュレーション法の解析精度を検証するため、AIAA Sonic Boom Prediction Workshopで使用された3次元機体まわりの流体解析を実施した。衝撃波が回折する直前までの解析結果は、workshopの結果とよく一致し、これまで困難であった実機形状・実飛行条件での高速・高精度計算が実施できることを確認した。しかし、流れ場が大きく変動する領域では、衝撃波に沿った適合格子が歪み、斜め下方に伝播する衝撃波の回折現象(横方向カットオフ)は正確に評価できなかった。 2)代替手段として、直交格子ベースの計算手法を構築し、横方向カットオフの調査を行った。その結果、飛行マッハ数が低く、カットオフの位置が機体直下に近い場合、入射波と回折波が地上で干渉し、衝撃波が集積する。一方、飛行マッハ数が高く、カットオフの位置が機体直下から離れた場合、地上では衝撃波が集積せず、上空のみで集積することが分かった。また、地面効果により、回折波や回折領域を透過する波の形状、及び減衰特性が変化することも明らかにした。 3)直交格子の場合計算コストが高く、横方向カットオフの調査は非効率であった。研究の効率化を図るため、機体直下で起きる衝撃波の回折現象(マッハカットオフ)の2次元解析も実施した。その結果、横方向カットオフと同様に、地面効果により回折波や透過波の形状が変化し、大気温度の逆転層ではカットオフが繰り返し発生することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、全空間・高速シミュレーション法により、これまで困難であった実機形状・実飛行条件での高速・高精度計算を実現することができた。しかし、本手法では横方向カットオフを正確に解析できなかった。代替手段として、直交格子ベースの計算手法を構築し、横方向カットオフの調査を行った。その結果、マッハ数効果や地面効果を解明し、追加で実施したマッハカットオフの解析からも新しい知見を得ることができた。以上から、計算手法の変更や、追加計算も余儀なくされたが、計画通りカットオフ現象を概ね解明できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築してきた解析手法を展開し、回折波によるセカンダリーブームの現象解明に着手する予定である。ただし、直交格子を用いた3次元解析の計算コストは非常に高く、セカンダリーブームの解析精度を保証するのは難しい。そのため、準1次元音響解析も併用し、現象の解明に着手する。
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