2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of large-scale structure of sonic boom based on fast full-field CFD using space marching method
Project/Area Number |
21K14349
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 礼 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20804644)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ソニックブーム / 全空間シミュレーション / 空間進行法 / カットオフ / セカンダリーブーム / 数値流体力学 / CFD / 衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音速機から発生するソニックブームは、準1次元音響解析で評価されてきたが、その適用範囲は衝撃波が回折する前までに限定されている。本研究の目的は、空間進行法を用いた全空間・高速シミュレーション法を構築し、ソニックブームが回折して消失するまでの3次元空間内での挙動を明らかにすることである。 本年度は、飛行試験以外では評価できていない、セカンダリーブーム現象を調査した。セカンダリーブームは、直接型と間接型の2種類に大別される。直接型は、機体上部で発生した衝撃波が上空で回折し、地上に到達する現象である。間接型は、機体下部で発生した衝撃波が地面で反射した後、反射波が上空で回折し、地上に戻ってきて発生する現象である。まずは、衝撃波の伝播経路を辿る波線解析により、セカンダリーブームが地上に到達する条件を調査した。風がない場合の到達条件は、回折領域の大気温度が地上の大気温度よりも高いことであった。 昨年度までに構築してきた直交格子ベースの全空間・高速シミュレーション法を展開し、格子数が最大で約270兆点の大規模計算を行うことで、前例のないセカンダリーブームの直接解析に成功した。上空における回折現象の特徴は、地上での回折現象と類似し、衝撃波の分裂や集積が見られた。また、気温減率が変化する部分でも衝撃波が集積した。回転放物面体から発生する典型的なN波の場合、回折波はU波となる。セカンダリーブームの波形は、U波が地上に到達するまでに作用する非線形効果で急峻化した波形になっていた。そして、直接型と間接型のセカンダリーブームをどちらも定量的に評価できることを実証した。 研究期間全体の主な成果は、空間進行法を用いた全空間・高速シミュレーション法を構築し、飛行試験以外では評価できていなかった、カットオフ現象、及びセカンダリーブーム現象を解明したことである。
|