2023 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the mathematical structure of resilience in aircraft operation using stochastic dynamical systems theory
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21K14350
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
山田 健翔 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (10866627)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 確率モデル / ソフトウェア信頼性モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和五年度はCompetency-Based Trainingにおいて取得された数値データ(インフォームドコンセント取得済み且つ倫理審査通過済み)を用いて、①前年度に引き続き訓練期間中の成長度合に対応する確率変数の抽出、②Software Reliability Growth Model (SRGM)とのアナロジーによる個々の成長過程の簡易モデル化を行った。具体的な実績の概要を以下に示す。 ①訓練1回当たりの要改善フラグ取得数(以下フラグ数)のヒストグラムによく適合する確率分布に内在する離散変数を「成長のステップ」と捉えることで、成長のステップが進むにつれてフラグ数が確率的に漸減するモデルを構築した。これに伴い、累積フラグ数の時間的推移をプロットすると、SRGMの期待値が描く凹型の軌道に近い結果が得られた。また、SRGMの前提となる仮定が訓練における確率過程の観点でも概ね成立することも確認されたことから、訓練中の成長過程を記述するモデルとしてSRGMが有望であることが示唆された。以上の成果がIEEE Transactions on Reliability (IF:5.9)に採択され、掲載された。 ②個々の成長過程について、①で有望と示されたSRGMによるフィッティングを行った。SRGMには様々なモデルがあることから、主だった20個以上のモデルについて形状フィッティングを行い、赤池情報量基準が最小となるモデルを選定した。これにより、凹型、S字型といった形状に基づくパターン分類や、imperfect debugging modelなどのモデルの性質に基づくパターン分類が可能となった。以上の成果をIEEE International Conference on Systems, Man, Cybernetics 2023等で発表した。 また、上記成果はプレスリリースとしても公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和五年度は、当初設定していた成長過程を説明可能な確率変数の検討、個々の成長過程の分析に加えて、SRGMによる簡易的なモデル化ではあるものの、次の段階である成長過程のモデル化について成果を得た。また、これらの成果について国際的に評価の高い論文誌への掲載、国際会議における口頭発表を行い、招待講演の機会にもつながった。また、研究機関及び共同研究相手方の共同プレスリリースとしても公開され、これまでの研究成果が実る形となった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和六年度は成長過程のモデル化に向けて、SRGMの適用によって得られた知見に基づいて、モデルのパラメータや性質を訓練の確率過程の観点から分析する。引き続き訓練教官である機長の方々と綿密に摺合せを行い、一致した解釈が得られるように慎重に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
海外出張費用や国際論文オープンアクセス化費用でドル建ての支払いがあり、為替レート変動の影響が大きかったため。 次年度は研究事業遂行の円滑化のため使用予定。
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