2021 Fiscal Year Research-status Report
Wave Propagation Analysis and Shape Control System Development for Large-Sized Membrane Space Structures
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21K14354
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
高尾 勇輝 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特別研究員(PD) (70896654)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大型宇宙構造物 / 膜構造 / 波動 / 形状制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、宇宙で展開される超大型の薄膜構造物の波動伝播メカニズムを明らかにし、波動制御の観点からの新たな形状管理手法を開発するものである。申請書に記載の計画に基づき、本年度は以下の2つの研究を実施した。 1) 研究代表者が先行研究として構築した、モード展開法に基づく薄膜の構造振動論を拡張し、波動伝播を記述するための理論の大枠を整えた。例として、静止状態の膜構造にインパルス入力を加えた際の応答などを考察し、膜上を波動が伝播してモードを形成するまでの過渡的な振る舞いを数学的に捉えることが可能となった。さらに、これと等価な状況を既存の動解析コードによって数値的に検証し、研究成果としての波動論が、非線形な波動伝達特性も含めてよく再現できていることを確認した。次年度以降では、動解析コードにさらなる改良を加え、より空間分解能の高いメッシュ構成での高精度数値解析を行う予定である。 2) 次年度に計画している大型真空チェンバを用いた構造解析・形状制御の本試験に備え、小型の実験装置の試作を行った。真空中での動作安定性に優れた電磁アクチュエータを選定し、さらに波動形成において必須となる複数アクチュエータの同期制御を成し得る新しいハードウェアを開発した。試作の結果、複数アクチュエータの同期制御によって振動入力を形成し、これが波動として膜を伝達してゆく様子が観察された。以上により、構想している実験システムの基礎的な動作確認が完了し、本試験に向けた試験計画を具体化する準備が整った。次年度では、この試作からのフィードバックを踏まえつつ、大型膜構造物に特化した制御装置の製作に着手する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、1) 超大型膜の波動伝播を伴う変形ダイナミクスの解明、2) 次年度の実証実験を想定した実験系の設計と試作、という2つの主要成果が得られ、これらは研究実施計画の記載内容と対応している。大きなトラブルなく次年度に向けた準備も進めることができており、概ね順調に進展していると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、目的として掲げている「超大型宇宙薄膜構造物の波動伝播メカニズムの解明と形状制御システムの開発」についての、理論および実験的な基盤が形成されたと言える。次年度以降では、この成果を発展させつつ、本格的な形状制御システムの開発に臨む。 また、本年度に開発した装置は多くの発明要素を含み、小型機にも適用し得る汎用的な性質を持つため、特許出願の手続きを開始した。今後も出願完了に向けて継続して進めつつ、並行して実験データの蓄積・解析も進め、次年度内に国際誌への論文投稿を目指す。
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Research Products
(1 results)