2023 Fiscal Year Research-status Report
先進的な非定常光学流体計測法を用いたストールセルの三次元複雑構造の解明
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21K14355
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
杉岡 洋介 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (20865604)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ストールセル / 失速 / 境界層剥離 / 非定常現象 / 光学流体計測 / 感圧塗料 / 後退翼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度取得した後退角のないアスペクト比6.47の矩形翼の非定常感圧塗料PSPデータについて,Fast Fourier transform (FFT) 法に基づくデータ解析を行った.右舷に1つのストールセル発生する条件においては,無次元周波数 (ストローハル数, St 数) が 0.2 および 0.55 付近に特徴的な圧力変動が見られた.これらの St 数の圧力変動が大きな領域を可視化すると,蛍光オイルフロー法にてストールセルが存在したスパン位置と対応した.他方,2つのストールセルが発生する条件においては,特徴的な周波数は確認できなかった.以上の結果を取りまとめて,第55回流体力学講演会にて成果発表を行った. 次に,30度の後退角を有する翼模型について,非定常PSP計測を行った。昨年度に実施した蛍光オイルフロー法による表面流線可視化において,後縁から境界層剥離が伸展し,最終的に前縁からの剥離が生じる条件を中心に非定常PSPのデータを蓄積した.固有値分解(Singular value decomposition, SVD)を用いて非定常PSPデータを簡易的に解析し,後退翼において移流するストールセルの有無を調査した.三次元的な後縁剥離が生じる条件においては,非定常PSPデータから有意な圧力変動は可視化されなかった.他方,境界層剥離が前縁に達した場合,剥離線に沿って比較的大きな圧力変動が内舷から外舷に向かって伝播することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していた通り,後退角30度の後退翼の非定常PSP計測を実施したものの,その後の部署移動により研究活動を中断せざるを得ず,定量的なデータ解析,オイルフロー可視化との比較,および後退角の有無による現象比較には至っていない.このため「遅れている」と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,2023年度に取得した後退翼の非定常PSPデータから定量的な圧力分布を得るためにデータ解析を進める.得られた結果を基に,後退翼上におけるストールセルの有無を明らかにする.また,後退角の有無による現象の差異について考察を進め,本研究の成果を取りまとめる.学会や学術誌における成果発表を積極的に行う.
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Causes of Carryover |
部署移動に伴い研究活動を中断せざるを得ず,成果発表のための出張や論文投稿料として予定していた予算が執行できなかった.次年度は,確実に成果を取りまとめ,成果発表のための出張および論文投稿料として使用する.
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