2021 Fiscal Year Research-status Report
Risk management method and optimal system design of electricity market in the era of large scale deployment of distributed generation
Project/Area Number |
21K14374
|
Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
松本 拓史 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 主任研究員 (60883163)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 電力市場 / エネルギー / ファイナンス / 予測 / 実証分析 / 分散型電源 / デリバティブ / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当該テーマに関する研究について,主に以下の成果を得た. ①分位点回帰を用いたインバランス価格の推定手法を構築した上で,インバランス損失リスク回避に向けた時間前市場の最適取引戦略を定式化し,その解法を導出した.また,1時間単位の市場取引シミュレーションを実装・実施し,インバランス価格へのペナルティー導入等が,系統全体のインバランスリスクを抑制するような市場メカニズムを明らかにした.なお,この成果は,査読付き国際学術誌IEEE Transactions on Power Systemsに投稿し,採択された. ②GAMLSSによるスポット価格分布予測を用いた電力デリバティブの価格付け手法について,気象庁の天気予報やJEPX価格の実データを用いて効果を多面的に検証した.その結果,提案手法が,ヘッジ効果の改善,引受リスクの低減,価格付けの公正性の各点において,正規分布を前提とする従来型手法より優れていることが明らかになった.なお,この結果は,査読付き国際学術誌Quantitative Financeに投稿し,採択された. ③分散型電源のアグリゲーターや再エネ発電事業者等が流動的かつ効果的なリスク管理を行えるよう,汎用性が高くかつ高時間粒度の標準型天候デリバティブを提案した.具体的には,提案した標準型天候デリバティブのための頑健なヘッジモデルを構築し,電力需要,電力価格,太陽光発電量,気象等の実データを用いて,ヘッジ効果を高めるためのモデル化手法を実証的に示した. ④③で提案したモデル化手法を太陽光発電量予測にも応用し,4種類の機械学習法よりも予測精度が優れていることを実証した.なお,③と④の成果は,査読付き国際学術誌Energiesに投稿し,それぞれ採択された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
モデル構築やデータ分析が滞りなく進み,取りまとめた論文が順調に採択されるなどしたため,当初の計画以上に進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
分散型電源のためのヘッジ手法の構築や,市場制度設計における示唆の獲得については,順調に研究成果を得ることができ,当初の計画以上に進展しているといえる.今後は,手法や実証分析をさらに拡充させつつ,国内外の発表を積極的に行うなどして,研究内容をさらに発展させていく予定である.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍が継続したことにより,当初予定していた研究成果普及のための国際会議における発表・討論が全てオンラインになったこと,国内外の共同研究者との打ち合わせを全面的にオンラインで行ったこと,既存環境で実施可能な研究から着実に遂行してきたことなどから,旅費と物品費を中心に次年度使用額が生じることとなった.これらについては,次年度はオンサイト開催の会議出席のために旅費の支出が見込まれることに加え,更なる研究の拡充に向けて必要な物品購入等を計画するなどしており,順次有効に使用していく予定である.
|