2023 Fiscal Year Annual Research Report
炭素繊維強化プラスチックを活用した中腰作業支援システムの開発
Project/Area Number |
21K14376
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
武田 伊織 法政大学, 理工学部, 助手 (70792266)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中腰作業支援 / CFRP / 筋電 / 画像認識 / 腰痛防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,炭素繊維強化プラスチック製の板バネを活用した中腰作業支援装具に関する.安全靴の爪先部分にJ字型の板バネを備えた装具を作製した.足関節の背屈に伴い下腿が板バネに接触,背屈角度が大きくなると板バネも屈曲する.板バネに発生する復元力が下から支えるように作用し,中腰姿勢の維持を支援する.同復元力は体勢復帰にも寄与する.2mm,3mm,4mm,5mmの厚さの板バネを用いて,10kgの重りを持ち上げ/降ろした際の筋使用量を,未着用時と比較した.計測する対象は,大腿直筋,腓腹筋,前脛骨筋の三つとした.それぞれ,股関節の屈曲,膝関節の屈曲と足関節の底屈,足関節の背屈の働きを主として司る. 被験者6名のうち,2名が①いずれかの筋使用量が有意に減少し,有意に増加したものは無い,2名が②前脛骨筋の使用量が有意に増加した一方で,大腿直筋と腓腹筋の使用量が有意に減少,1名が③いずれの筋使用量も増減しない,1名が④いずれかの筋使用量が有意に増加,となった.なお,筋使用量の減少がどの厚さの板バネを用いた装具で見られたかは被験者によって異なったが,2mmのもので減少した被験者は居なかった.②について,前脛骨筋は足関節の背屈に寄与,つまり直立状態から中腰姿勢へと遷移する際に使用する筋肉と考えて良い.この使用量が増加したということは,板バネを曲げる際に筋肉を用いていると考えられる.本装具の板バネは着用者の体重で屈曲させることを想定しており,直立状態から中腰姿勢への遷移に筋肉の使用を必要としないという利点がある.こうした説明や練習の時間はなるべく多めに取っていたが,普段の動作と異なることもあり,十分に活用できなかったと考えられる.一方で,正しい使用法に習熟することで,②に該当する2名の被験者は改善が見込める. 以上から,個人差はあるものの本装具が中腰作業時の筋使用量低減に一定の効果があることがわかった.
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