2023 Fiscal Year Research-status Report
太陽電池パネル本質的安全設計のための電子相転移に基づく外場感応電流制御技術の創出
Project/Area Number |
21K14378
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 大輔 長岡技術科学大学, 工学研究科, 講師 (30883897)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 太陽電池パネル / ホットスポット / 逆バイアス電圧 / 過渡熱特性 / 熱応力 / 発火防止 / 電子相転移材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,太陽電池パネル内でホットスポット化した太陽電池セルの破壊と発火のリスクを低減するための方法(本質的安全設計)として,発熱の原因である電流の経路を外場(電圧と熱)に同期して切替える“外場スイッチ型バイパス回路”を提案し,コンセプトの実現可能性追究と実証を目指す.このコンセプトで鍵となるのは,電子相転移材料の物性値変化である.電子相転移材料は,ある温度を境に電子の自由度に由来する絶縁体-金属間の相転移が生じ,低温時には電気抵抗が高くなり,高温時には低くなる.また,電圧印加でも同様に絶縁体→金属相転移が誘起される.これらの特性を活かした,太陽電池パネルの状態に応じて電流経路を切り替える新規電流制御手法を検討する. 本年度は電子相転移材料を用いたバイパス回路の製作を中心に行った.代表的な電子相転移材料である二酸化バナジウムの粉体をシリコーン樹脂に分散させペースト状にし,その分散性と硬化特性を評価した.攪拌条件の調整により、昨年度よりも二酸化バナジウムを均一にシリコーン中に分散できるようになったものの,短時間で沈殿が生じるため分散性改善の余地がある.また、シリコーン中の二酸化バナジウム濃度に偏りがあると,それに応じて硬化速度にも差が生じることが明らかとなった.今後は,攪拌・硬化条件の最適化に取り組むとともに,単位体積に占める二酸化バナジウムの割合が相変化前後の電気特性の変化に及ぼす影響を解析する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
樹脂材料攪拌装置の修理に約半年の期間を要し,十分に条件出しを行なえなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き,電子相転移材料(二酸化バナジウム)を用いたバイパス回路の成形に取り組む.二酸化バナジウム粉体をシリコーン樹脂に分散させたサンプルの製作において,①攪拌・硬化条件の最適化と②単位体積に占める二酸化バナジウムの割合が相変化前後の電気特性の変化に及ぼす影響の解析に取り組み,バイパス回路としての適用可能性を見極める.
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Causes of Carryover |
未執行予算の大部分は,輝度分析システム(カメラおよび専用ソフトウェア,見積価格:1,200千円)の購入に充てるためのものであった.この機器は,力学的な刺激により発光する材料(応力発光体)を用いた太陽電池パネルの応力観察に用いる予定だったが,応力発光体の供給が停止したことから,予算の執行を取り止めていた.替わりにこの予算で太陽電池パネルの発電特性を評価するための装置(計画段階では計上していなかったが,太陽電池セルの損傷と発電特性の関係を解析するために必要)を購入する予定である.また,本年度の計画遂行の遅れにより購入を見送っていた材料等も調達するため,交付予算が完全に執行される見込みである.
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