2021 Fiscal Year Research-status Report
衛星SAR画像と降水量データを用いた汎用性のある広域雪崩ハザードマップの開発
Project/Area Number |
21K14383
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
砂子 宗次朗 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 特別研究員 (60874295)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 雪崩 / 雪崩災害 / ハザードマップ / 衛星画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,雪崩発生情報やハザードマップが未整備の地域を対象に,複数の衛星観測データと気象データを利用することで,現地観測データに依存せずに雪崩発生危険斜面を特定する手法を開発するものである. 研究初年度である2021年度は,ロシア・サハリン州 (サハリン島) 南部の沿岸を対象として,解像度30 mの数値標高モデル (DEM) から取得した各種地形情報と,光学衛星 (Sentinel-2) から求めた植生及び積雪被覆分布を用いて主要道路周辺の雪崩発生危険斜面の抽出を行った.また,高解像度 (2.5 m) のDEMを用いた雪崩危険斜面の抽出も行い,斜面スケールに対するDEMの解像度に応じた抽出差を求めた.これらの抽出した危険斜面と既往研究から得た過去の雪崩発生地点との比較を行い,現状の地形及び土地被覆情報のみを用いた雪崩危険斜面の抽出方法に関する課題の整理を行った.さらに,雪崩危険斜面の抽出に用いる降水量グリッドデータの検証データとして,現地研究者から共有された沿岸部の気象データ (8地点) の初期解析を実施した.各沿岸部における降水量や積雪深の時系列変化に関する理解を深めると共に,東西の沿岸部において特に積雪深分布や風向・風速分布が顕著に異なることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨今の新型コロナウイルス感染症やロシアの国際関係上の変化により,現地の研究者と協力して研究を進めることが難しい状況となり,特に気象データに関する議論を満足に行うことができなった.そのため初年度の計画では衛星観測データに加えて降水量グリッドデータを考慮して斜面抽出を行う予定であったが未完了であるため,研究全体の進捗状況としてはやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,対象領域をサハリン州の沿岸部から山岳部まで拡張するとともに地形及び土地被覆情報に加えて降水の空間パターンを考慮して雪崩発生危険斜面をさらに絞り込む.加えて,合成開口レーダー(以降SAR) から得られる観測データを複数用いて過去に実際に発生した雪崩の特定・抽出に取り掛かる.既往研究におけるサハリン州の雪崩災害発生記録を用いて,SARデータから抽出した雪崩発生地点との比較・検証を行う. また,今後の国際情勢を考慮して,日本国内における衛星データや過去の雪崩発生情報の収集及び解析を並行して進める予定である.
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Causes of Carryover |
研究計画段階では,本研究に必要な衛星データを本年度まとめて購入する予定であった.しかし,新型コロナウイルス感染症や国際関係上の問題から対象地域の変更を行う可能性があったため,衛星データの購入は次年度に使用することとした. 初年度に続き衛星データを用いた雪崩発生危険斜面の抽出を行うため,高精度DEMを購入する他,次年度の計画で用いるSAR衛星データの購入も進める予定である.また,当初の対象地域に加え,日本国内をカバーした各衛星データの購入にも使用する予定である.
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