2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14385
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大邑 潤三 東京大学, 地震研究所, 助教 (40809381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歴史地震 / GIS / 歴史地名 / オープンデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は他の競争的資金も獲得し,これも利用して地震史料のGISデータ化と分析を行った.1662年寛文近江・若狭地震について,地震史料から868件の地名抽出を行い,そのうち715件の地理座標を特定した.また1703年元禄関東地震については,1202件を抽出し1070件の座標を特定した.1854年安政東海地震については新出史料から被害分析を行っている.これらのデータは整理後GitHub上などで公開し,歴史地震GISデータのオープンデータ化を推し進める.前年度進めていた1596年畿内の地震について,作成したGISデータをもとに震度判定を行い,先行研究の震度判定について検証した.その結果,史料分布の偏り,判定者の先入観,史料解釈の誤りの可能性等があり,正しく地震断層の位置を推定できなかったとの結論に達した.本研究については論文として投稿中である. 本年度の作業および分析によって,GISデータが生成されただけでなく,歴史地名の扱い方に関する課題も明らかになった.具体的には,特定の地域に同じ小地名が複数存在することや,同音異字地名の存在,具体的な地名が記述されず知行高のみ記される例など,歴史地名の機械的な処理が難しい事例である.将来的に史料中の地名を機械的に処理する場合の課題といえる.1596年の地震に関する震度の検討については,宇佐美(2013)において震度判定過程の検証が必要と指摘されており,これを実施したものである.なお本地震の地理座標付き震度データについてはGitHub上で公開しており,研究目的である他者による検証可能性や再現性を確保している. 研究計画のうち,内陸地震2件のGISデータ化と1件の分析,海溝型地震1件のデータ化が済んだ.また1854年安政東海地震(海溝型)についてはデータ化と分析を同時並行で現在進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度までに内陸地震4件,海溝型地震2件程度について,史料のGIS データ化を進め分析を行うとした計画のうち3分1以上を達成している.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に作成したデータの整理を行い,これに震度判定を付す.また新たな地震について史料のGISデータ化を進める.作成されたデータを活用して地震学的な分析を順次行う.
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Causes of Carryover |
別の競争的資金を獲得し人件費・謝金をそちらで賄ったため.
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