2021 Fiscal Year Research-status Report
Efficiency improvement and validation of probabilistic tsunami inundation hazard assessment
Project/Area Number |
21K14391
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
福谷 陽 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (10785322)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 津波 / 津波数値計算 / 確率論的津波ハザード評価 / 固有直交分解 / モード分解 / 特異値分解 / ガウス過程回帰 / BPT分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、津波数値解析結果を効率的に利用した津波浸水深の発生確率分布の評価手法の構築を目的としている。2021年度は、固有直交分解(POD)から得られる特異値分解(SVD)の手法を用いて、多数の津波浸水深分布を空間モードに分解して、代理モデルを構築することで浸水深分布をランダムに生成し、さらに、地震動の切迫性を考慮した確率論的津波浸水深評価の手法を提案した。具体的にはまず、相模トラフ巨大地震による鎌倉市の津波浸水を対象として、地震の深さ、すべり分布、モーメントマグニチュードの3つの変数の変動を考慮して、計27ケースの津波数値計算を行い、津波浸水深を空間モードに分解し、空間モードの線形結合として得られる代理モデルを構築した。次に、代理モデル内のパラメータを前述の3つの変数を用いたガウス過程回帰(GRP)により決定し、モンテカルロシミュレーションを実行することで、比較的少数の津波数値解析から疑似的な浸水深分布を多数生成することができた。さらに、地震の発生確率としてBPT分布を用いることで、地震発生の切迫性を考慮し、今後50年以内に39%・10%・5%・2%で発生する陸域の津波浸水深分布を評価することが可能であることを示した。代理モデルを検証するため、提案した代理モデルにより生成したサンプルと、物理モデル(非線形長波方程式)による計算結果を比較したところ、良い一致を示した。また、今後50年という比較的短期な期間に焦点を当てた確率論的津波浸水評価を実施したことで、各種構造物の耐用年数、人間の世代や寿命を考えた津波ハザード評価手法として利用されることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画の1年目では、断層パラメータの不確定性を考慮した津波浸水分布をモード分解し、モード結合することで多数の津波浸水深分布を評価する研究までとしていたが、2021年度(1年目)で、モード結合による津波浸水深分布の評価のみならず、時間に依存した地震の発生確率分布であるBPT分布を適用し、確率論的津波浸水深分布まで評価できており、当初の予定以上に研究が進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、Goda et al. (2014)によるランダムな津波波源から得られる津波浸水深分布と空間モードを結合して得られる津波浸水深分布を比較することで、後者の浸水深が、物理的に有り得る浸水深となっているか、検証を行う。この検証を行うことで、結合に必要十分な空間モードの数についても決定することができる。決定したモード数分の結合を行い、多数の浸水深分布を評価し、さらに、時間依存の地震の発生確率モデルであるBPT分布、または、ポアソン分布を適用し、モンテカルロ計算を実行することで、陸域のメッシュ毎に津波浸水深と30年超過確率または50年超過確率の関係である津波浸水ハザードカーブや、最終的に、100年に1度程度、500年に1度程度等の再現期間毎の確率津波ハザードマップを得るモデルを提案する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた状況】 今年度は物品費327,430円とオープンアクセス論文投稿費395,259円の722,689円の支出であったが、新型コロナウィルス感染症拡大の状況が引き続き収まらず、学会参加や研究打ち合わせ等で消費予定であった旅費が使用できず、次年度使用額が生じた。 【翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画】 次年度使用額177,311円分は、次年度の旅費として使用することを検討するが、新型コロナウィルス感染症拡大により、引き続き旅費が使用できない状況が続くようであれば、関連する参考文献、論文投稿料、データ解析ソフト、消耗品費として使用することを検討する。
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Research Products
(4 results)