2021 Fiscal Year Research-status Report
自動第一原理計算と多変数ベイズ最適化を用いた無機材料探索システムの構築
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21K14401
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 亮 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80822311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機械学習 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学の実験系等の他分野の先行研究を参考に、物性値が所望の範囲内であるような確率を機械学習により評価して、その確率を基に有望物質を探索する手法を提案した。研究室内のデータベースについてこの手法を用いて探索シミュレーションを行ったところ、先行研究で行われているようにベイズ最適化を用いて探索した場合よりも探索の性能が向上することがわかった。さらに、化学プラントの条件最適化の研究例を応用し、複数の物性値が同時に特定の基準を満たす物質を効率よく見つけ出す材料スクリーニング手法を開発した。この複数の物性を考慮した探索手法についても上記のデータベースで探索シミュレーションを行ったところ、形成エネルギーが一定以下かつバンドギャップが特定の範囲に入るような物質を効率よく探索できることがわかった。これらの手法と探索シミュレーション結果をScience and Technology of Advanced Materials: Methods誌に出版した。 また、自動第一原理計算プログラムと上記の手法を組み合わせることにより、データ生成と機械学習による未知物質の有望性の判断により自動物質探索システムを実装した。テスト計算としてMaterials projectに掲載された約4千の酸化物・カルコゲナイドから、4 eV以上のバンドギャップと30以上の誘電率を両立する物質を探索したところ、目標の物質を短時間で効率よく選定できることを実証した。 一方で自動第一原理計算プログラムについて当初の計画通り、有効質量やハイブリッド汎関数によるバンドギャップ等に対応するように拡張をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初ベイズ最適化を用いた材料探索を計画していたが、ベイズ最適化の手法を材料スクリーニングに適するように修正して探索性能を向上させた。また複数物性を考慮した探索についても当初評価関数の設計を行いベイズ最適化により物質探索を行う予定であったが、提案手法により評価関数の設計を行うことなく自然に複数の条件を同時に考慮して有望物質を探索できるようになった。 また探索プログラムについても想定より早く実装・テストが進んでおり、誘電率・バンドギャップを考慮した物質探索では所望の物質の同定が効率化できることをテスト稼働で実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では誘電率・バンドギャップを考慮した探索が効率化できることが分かったため、high-k絶縁体を念頭に置いた物質探索を進めていく。 並行して有効質量や光吸収係数といった他の電子物性でも機械学習モデルの構築による予測手法の開発や性能評価を行い探索対象となる物性を拡張していく。
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Causes of Carryover |
当初は初年度に計算機を購入する予定だったが、研究室の計算機室の電力の枯渇のため初年度に計算機を稼働することが不可能であった。このためCPUの新型モデル等も考慮に入れて購入を先送りし、研究室で既に所有していた計算機やスパコンを用いることでプログラム開発やテストを行った。 この電力の問題は既に解決の目処が立っているため、次年度に計算機を購入予定である。
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Research Products
(4 results)