2021 Fiscal Year Research-status Report
単結晶ジルコニアナノシートを利用した微小固体酸化物形燃料電池の開発
Project/Area Number |
21K14402
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 哲也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (50823142)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / ナノシート / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続的な発展を実現するために環境に優しい次世代エネルギーが必要である。この次世代エネルギーに必要な要素は、1. 高いエネルギー変換効率、2. 高いエネルギー密度と出力密度、3. エネルギー燃料の種類の制約が少ないことである。現在の固体酸化物形燃料電池の課題の一つは電解質の薄膜化にあり、これが実現できれば動作温度の低温化、耐久性の向上、高効率化と高出力化、そして小型・軽量化が可能となると考えられる。そこで我々はイオノサーマル法というイオン液体でナノ粒子を結晶成長させる方法を取り入れ、ジルコニアのナノシートの合成に取り組んだ。 さらに、ナノプローブ電極搭載した走査型電子顕微鏡を用いて合成したナノシートの絶縁破壊電圧を調べた。絶縁破壊電圧はナノシートを実際に固体酸化物形燃料電池の電解質として利用したときに使える最大出力と関係のある重要なパラメータの一つである。電圧を 0 から 40V まで掃引したときの電流値をプロットしたところ、印加電圧が低い 0 から 10 V 付近では流れる電流が小さく、検出限界以下の電流値となった。また、電圧が 20 V 以上になると明確な電流が観測され、30 V 以上になると印加電圧に対して直線的に電流値が増加した。最高の印加電圧である 40 V 印加させたときの電流値は 5 pA 程度であった。プローブに流れた電流値から電流密度を計算したところ、250 mA/cm2 と比較的大きな電流密度になっていることがわかった(40 V 印加)。また、電圧掃引を何度か繰り返した場合には、流れる電流値が増加する傾向が見られ、さらにサンプルによっては数十ボルト印加した場合にナノシートが破壊される様子が見られた。 ジルコニアナノシートを燃料電池に利用するためのセルの設計に着手した。マイクロ流路を通じて水素やエタノールの燃料を供給し燃料電池特性評価システムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、2021年度に面外方向の酸素イオン導電率計測のためにクシ型マイクロ電極上にジルコニアナノシートを配列させ計測する予定であったが、基板上にナノシートを均一に配列するのが難しく達成できていない。 イットリウムをドーピングしたジルコニアナノシートの合成に取り組み、合成したナノシートをXRDにより分析したところ一部イットリウムがドーピングできていることがわかった。 本研究の最終的な目的は固体酸化物形燃料電池の小型化にあり、そのためのマイクロリアクター作成について予定を早めて着手した。水素や酸素を供給できるマイクロリアクターの設計および熱のシミュレーションを行った。さらに、切削機を用いて実際にマイクロリアクターを作製し市販されている固体酸化物形燃料電池を用い動作確認を行った。起電力を評価したところ熱力学的な理論値に近い値が得られ、作製したマイクロリアクターを用いて電池特性を評価するための測定系構築の目処が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの高温で作動する固体酸化物形燃料電池は定置用電源として実用化が進められてきたが、可搬性を付与した固体酸化物形燃料電池の実現ができていないのが現状である。もし、700℃以上という高温で作動する固体酸化物形燃料電池に可搬性を付与させることができれば、これから増加する電力需要を満たすことのできるクリーンなエネルギーとなりうる。固体酸化物形燃料電池に可搬性を持たせるためには高温を維持するため熱と輻射のエネルギーをリアクター内に閉じ込める高い断熱性を実現し、燃料となる水素、炭化水素ガス、酸素をリアクター内に供給できる流路を構築することである。 今後の研究の推進方策は、微細加工を駆使し合成したジルコニアナノシートを搭載できる固体酸化物形燃料電池のリアクターを作製しその性能を評価する。リアクターには酸素や水素を供給する機構を作る。マイクロパターン電極を配置し燃料電池セルの評価をする。断熱構造を700℃程度で動作させ、その時のリアクターの表面温度を常温に維持させる。このリアクターに合成したジルコニアナノシートを電解質として利用した場合の固体酸化物形燃料電池の性能を評価する。ジルコニアナノシート一枚一枚を堆積させて電解質として利用を目指すが、難しい場合はスクリーンプリンティングを応用しナノシートの膜を作製し焼結することで電解質を作製し性能を評価する。
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Research Products
(2 results)