2021 Fiscal Year Research-status Report
原子配列テンプレートの概念による層状複水酸化物の面内原子秩序構造の構築
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21K14404
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
簾 智仁 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 助教(特定雇用) (40783923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原子配列 / 層状複水酸化物 / 硝酸イオン / Rietveld解析 / XAFS / 吸着等温線 / 第一原理計算 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤーン・テラー活性イオンであるNi(III)と不活性イオンであるCo(III)からなる層状酸化物をLDHsを合成し、トポケミカル反応により層状水酸化物(LDHs)へと直接変換することで、カチオン配列の制御を目指した。Co/(Ni+Co)比を系統的に制御すると,組成比が0.25において低電荷密度かつ低求核性の陰イオンである硝酸イオンに対する吸着容量が大幅に増加した。このときの値は,LDHsのもっとも一般的な合成手法である沈殿法により合成した様々な金属組成からなるLDHs(Mg/Al, Mg/Ga, Mg/Fe, Mg/Ga, Ni/Co, Co/Fe)を大きく上回る値であった。さらに,得られたLDHsのX線構造解析の結果から,この高い吸着容量をもつ組成では,Coが基本層面内で六方晶状に配列した構造を多く含むことが分かった。さらに,第一原理計算によって、種々のカチオン配列と硝酸イオンの吸着反応の反応エンタルピーとの関係を調査した。その結果,六方晶状の配列は層間の硝酸イオンと層間水,硝酸イオンと基本層の表面水酸基との水素結合を効率的に形成でき、これが高吸着容量を可能にしていると結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、本研究の目標である高い硝酸イオン吸着容量をもつLDHsを、本研究のキープロセスであるトポケミカル法により合成することに成功した。その容量は、従来法で合成されたLDHsに対して最大で2.5倍の容量に相当する。さらに、本材料の解析を進めることで、高容量を発現するキーとなるカチオン配列を明らかにすることができた。以上のように、材料合成から吸着機構の理解までを一貫して進め、新たな知見を得ることができ、論文投稿や学会発表という形で成果発表することができたため、このように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたNi/Co系のLDHsに関する知見を基盤とし、他の元素系および組成へと展開する。特に、トポケミカル法を用いることで、従来法で得られるLDHsの固溶限界を大きく上回る組成域の制御を実現している。このような特徴を活かし、新しいイオン分離現象の発現を目指す。
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