2022 Fiscal Year Annual Research Report
原子配列テンプレートの概念による層状複水酸化物の面内原子秩序構造の構築
Project/Area Number |
21K14404
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
簾 智仁 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (40783923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トポケミカル法 / イオン吸着 / 層状複水酸化物 / Rietveld解析 / X線吸収微細構造 / ナノ空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
水中の陰イオンを高効率かつ選択的に分離する吸着材は未だ確立されていない。層状複水酸化物(LDHs)は陰イオン交換性をもつ無機化合物であり、金属水酸化物骨格中に形成された二次元空間内に陰イオンを吸着することができる。本研究では、これまでは化学組成の調整のみに制限されていたLDHsの材料設計に対して、骨格中の金属イオンの原子配列が二次元空間内の陰イオンの熱力学的安定性を決定することに着目し、超選択的に陰イオンを分離可能な原子配列をもつLDHsの創製に挑んだ。 研究代表者は、これまでに、ナトリウムイオン電池正極材の層状酸化物に水溶液中で酸化還元処理を施すことで、LDHsがトポケミカルに得られることを見出してきた。特に、両物質間で原子配列が転写されることに着眼し、前駆体である層状酸化物の化学組成や合成経路を精密にデザインすることで、新規な原子配列をもつLDHsが得られることを明らかにしてきた。具体的には、本手法によりLDHsの固溶限を80%拡大することができ、フッ化物イオンと硫酸イオンとの競争吸着に応用するとフッ化物イオン選択性が従来の固溶限をもつLDHsに対して約40倍向上することを明らかにした。さらに、従来の固溶限内のLDHsにおいても、本手法により作製したLDHsは従来法に対して原子配列の対称性が向上しており、それによって硝酸イオン吸着容量が1.3倍向上することを明らかにした。以上より、本研究では吸着材の固溶状態の制御が陰イオンの吸着分離の鍵となることを明らかにしてきた。
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