2023 Fiscal Year Annual Research Report
母材樹脂のメゾ構造を考慮したCFRPの変形・破壊マルチスケールモデリング
Project/Area Number |
21K14415
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川越 吉晃 東北大学, 工学研究科, 助教 (00884199)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マルチスケールモデリング / CFRP / 分子動力学法 / 有限要素法 / GRRM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では炭素繊維強化複合材料の変形・破壊を予測するマルチスケールモデリング手法の構築を実施した.本手法では複合材料に関わる重要な4スケールでの解析を連携させた.1つ目は熱硬化性樹脂の化学反応を正確にとらえるための非経験的量子化学計算であり,Global Reaction Route Mapping (GRRM)を用いて反応経路の探索および活性化エネルギー・生成熱の取得を行った.2つ目は全原子分子動力学法(MD)であり,反応MDを用いて硬化シミュレーションを行った.ここではGRRMで得られた活性化エネルギーに基づき反応確率を計算し,生成熱を用いて局所加熱を制御した.得られた硬化樹脂モデルに対し,1軸引張,1軸圧縮,3軸引張,準静的1軸引張,昇温シミュレーションを行い,樹脂の弾性定数,引張/圧縮強度,粘塑性パラメータ,線膨張係数,ガラス転移点,硬化収縮量を取得した.3つ目のスケールでは繊維/樹脂の不均一構造をモデル化した微視的有限要素法(FEA)によって1方向材物性(等価剛性,強度,弾塑性パラメータ等)を取得した.4つ目のスケールでは積層板スケールの巨視的FEAによって成形時の残留変形やoff-axis試験をモデル化した. マルチスケールそり解析ではGRRM→MD→Micro FEM→Macro FEMとスケール間を接続し,硬化収縮,熱収縮によって生じる非対称クロスプライ積層板の残留変形を高精度に予測可能となった. マルチスケール破壊解析ではGRRM→MD→Micro FEM←Macro FEMとスケール間を接続し,下層から樹脂物性を,上層から局所ひずみ履歴を取得し,Micro FEMにて複合材の樹脂破壊オンセットの予測を可能とした. これらマルチスケールモデリングは樹脂選択時点から複合材の変形・破壊を予測可能であり,次世代の複合材料開発において有用な知見を提供可能なツールである.
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