2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel CFRP by establishing double network structure of electrically conductive polymer and thermosetting resin
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21K14416
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
後藤 晃哉 山形大学, 有機エレクトロニクスイノベーションセンター, プロジェクト教員(助教) (10570864)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 導電性高分子 / 導電性熱硬化樹脂 / 膨潤 / CFRP |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度では、導電性高分子/熱硬化樹脂ダブルネットワーク構築を実現するための手段として提案している、導電性高分子微粒子の温度による膨潤挙動制御が可能であることを実証した。 導電性高分子ポリアニリン/長鎖アルキル含有ドーパント複合体に対して熱可塑性フェノール樹脂を微量混合しているものと、全く混合していないものの2種類の微粒子を作製した。それら導電性高分子微粒子をジビニルベンゼンモノマー中にごく微量添加し、室温もしくはフェノール樹脂軟化点以上の高温で、時間経過による微粒子の変化を光学顕微鏡で観察した。その結果、フェノール樹脂未添加微粒子は室温、加熱時ともに時間経過によって膨潤したが、フェノール樹脂添加微粒子では室温では変化せず、加熱することで膨潤することが確認された。このことから、熱可塑性フェノール樹脂を混合した導電性高分子微粒子のモノマー中における膨潤挙動を温度によって制御できることが明らかとなった。 導電性高分子微粒子をジビニルベンゼンモノマーに多量に添加したペーストを作製し室温で粘度測定したところ、フェノール樹脂添加微粒子を用いたペーストは、フェノール樹脂未添加のものに比べて粘度が一桁以上低い状態を保っていた。また、フェノール樹脂軟化点以上の温度で加熱すると、フェノール樹脂添加微粒子を用いたペーストでは粒子の膨潤と接合に起因すると考えられる粘度増加が見られた。さらに高温で加熱すると、ジビニルベンゼンの反応が速やかに進行し、硬化物を得ることが出来た。得られた硬化物の導電率は3×10-3 [S/cm]であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度において、本研究課題で最も基礎的かつ重要な課題と位置付けていた、熱可塑性フェノール樹脂の微量添加による導電性高分子ポリアニリン/長鎖アルキル含有ドーパント微粒子の膨潤制御が可能であることを実証できたのは大きな進展であったと認識しており、概ね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
導電性微粒子中において、導電性高分子ポリアニリン、長鎖アルキル含有ドーパント、熱可塑性フェノール樹脂のナノレベルでの分布状態について、元素マッピングや元素分析等で評価して、膨潤制御メカニズムについての仮説を立証していく。また、さらなる導電性、機械的強度向上を目指して、各材料の混合方法や組成の最適化を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、設備備品の購入見送り(溶融混合高せん断スクリュー:120万円)や出張見送りのため、次年度使用額が生じた。設備備品の購入見送りに関しては、研究開発の進展に伴ってのサンプル作製方法が変更されたためである。また旅費に関しては、コロナ禍による出張自粛のために支出が無かった。 翌年度においては消耗品の他に、サンプル作製に必要な金型等の備品購入、公的機関所有の装置を利用したサンプル作製や評価に必要な設備利用費、旅費等に当てる予定である。
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Research Products
(1 results)