2021 Fiscal Year Annual Research Report
界面非破壊分析手法を用いた高分子の界面ダイナミクス評価
Project/Area Number |
21K14419
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青木 美佳 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (80869339)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子複合材料 / 界面 / ダイナミクス / 熱硬化性樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高分子複合材料における構造と物性を正確に理解して、材料設計指針を提案することを目的としている。高分子複合材料の材料特性は、マトリクス高分子の物性とフィラー材料の物性に加えて、それらの接する界面における物性で決定される。界面における物性を理解するためには、まずはマトリクス高分子すなわちバルクの構造・物性を正確に理解する必要がある。そこで、マトリクス高分子として頻繁に用いられるエポキシ樹脂に着目して、その構造と物性の相関を検討した。エポキシ樹脂は熱硬化性樹脂のひとつで2個以上のエポキシ基を有する化合物とアミンなどの硬化剤との化学反応によって形成される3次元ネットワーク構造を有する。炭素数の異なるアルキルジアミンを硬化剤として用いることによって、架橋密度の制御されたエポキシネットワークを調製し、架橋密度が構造・物性に与える影響を検討した。架橋ネットワークのセグメントダイナミクスを評価した結果、架橋密度の増加に伴って、動的不均一性が上昇し、協同的再配列領域の空間スケールが減少することを明らかにした。原因を追究するため全原子動力学シミュレーションに基づき架橋ネットワークのダイナミクスを評価した結果、架橋点として振る舞うN原子とその周囲の運動が抑制されていることが示唆された。さらに、動的粘弾性測定に基づきマスターカーブを作成したところ、アルキル鎖長が短くなるにつれて、弾性率に対するエントロピーの寄与が小さくなることが示唆された。
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