2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of new high-performance fluoride ion conductors using double salts
Project/Area Number |
21K14422
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川原 一晃 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90869570)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フッ化物イオン伝導体 / フッ化物複塩 / フッ化物イオン電池 / フルオロアンチモン酸カリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はフッ化物イオン電池の室温駆動のために、複塩を用いた高いフッ化物イオン伝導度を示す固体電解質を創生することである。KFとSbF3の複塩(KSbF4)を加熱すると、沸点の低いSbF3が蒸発し、結晶内にF空孔が導入され、イオン伝導度が向上する。本年度は、KSbF4にKよりイオン半径の大きなRbを添加し、イオン伝導経路を拡張することでイオン伝導度の向上を試みた。 本研究では、KSbF4にRbを添加したK1-xRbxSbF4(0<=x<=0.3)を系統的に合成し、510Kで焼結することで多結晶試料を作製した。粉末X線回折の結果からx<=0.15ではKSbF4の結晶構造を維持したままRbが添加されていることが分かった。室温におけるCole-Coleプロットを取得し、フッ化物イオン伝導度の組成依存を調査した。x<=0.15でイオン伝導度はKSbF4に比べて増加し、x=0.15で最大となった。室温におけるKSbF4の結晶粒内、粒界、全イオン伝導度はそれぞれσ(bulk)=1.6×10-5 Scm-1、σ(GB)=5.5×10-6 Scm-1、σ(total)=4.1×10-6 Scm-1であったのに対し、K0.85Rb0.15SbF4ではσ(bulk)=1.1×10-4 Scm-1、σ(GB)=3.3×10-5 Scm-1、σ(total)=2.5×10-5 Scm-1であり、KSbF4に比べて伝導度が1桁向上した。一方でx > 0.15ではフッ化物イオン伝導度はKSbF4に比べて1桁以上低い値となった。以上から、KSbF4の結晶構造を維持したまま添加可能な最大量のRbを添加することで、イオン伝導度を最大化できることがわかった。本結果は、組成の最適化により複塩のイオン伝導度を更に向上させることが可能であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の研究計画は、さまざまな組成のKFとSbF3の複塩を系統的に合成し、フッ化物イオン伝導度の組成依存を評価し、組成を最適化することである。令和3年度はKよりもイオン半径の大きなRbをKSbF4に添加したK1-xRbxSbF4を系統的に合成し、フッ化物イオン伝導度の組成依存を調査した。本研究では、KSbF4の結晶構造を維持したまま添加可能な最大量のRbを添加することで、フッ化物イオン伝導度が1桁向上し、室温における結晶粒内のフッ化物イオン伝導度が10-4 Scm-1のオーダーに達することを明らかにした。本年度の成果は、イオン半径の異なるイオンを添加し、組成を最適化することで、複塩のフッ化物イオン伝導度を向上させることが可能であることを示した結果であり、令和3年度の研究がおおむね順調な理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は複塩の組成を最適化することで、フッ化物イオン伝導度を向上させることを試みた。今後は、フッ化物複塩の微細構造に着目し、高性能フッ化物イオン伝導体創生のための指針を得る。とくに原子空孔、粒界などの欠陥に注目する。空孔はイオン伝導を促進し、粒界はイオン伝導を阻害するため、これらの構造を解明することでイオン伝導のメカニズムを考察する。得られた結果から複塩に多くのFサイト空孔を入れる方法、粒界抵抗を軽減する試料合成法を検討する。また、KSbF4のイオン伝導測定の結果をもとに、15族であるP、As、Biを含む新規フッ化物イオン伝導性複塩の合成を行う。これらの元素のフッ化物は他のフッ化物に比べて沸点が低く、熱処理によるF空孔導入により高イオン伝導度発現が見込まれる。高いイオン伝導度を示す材料は微細構造解析を行い、高イオン伝導度発現の起源を明らかにし、材料合成にフィードバックする。
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Research Products
(4 results)