2022 Fiscal Year Research-status Report
イオン・ラジカルが共存する高密度プラズマからの超硬質・低摩擦な窒化炭素膜の創製
Project/Area Number |
21K14440
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
田中 一平 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (40781034)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | プラズマ / CVD / 窒化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
CNラジカル・N2+イオンが共存する高密度反応場を用いて窒素濃度50%以上の高窒素含有な窒化炭素膜形成のため、炭化水素ガス-N2ガスのガスを用いて原料ガスおよびマイクロ波パルスのDuty比を変化させることで高窒素化を行った。原料ガスを変化させることで昨年度では窒素量は5.6at.%と目標から著しく低い値であったが、原料ガスをメタンからアセチレンに変更することで窒素量は27at.%まで増加させることができた。しかし、1GPa未満であり低硬度となった。一方、Siを添加して作製した場合には窒素量は15at.%程度であったものの、30GPaと高硬度な膜を得ることが可能であった。また、高硬度な化学結合成分量が安定になる500℃以上での基板温度で成膜を行うため、マイクロ波のDuty比を変化させ成膜を行った。成膜時の温度が300℃以上ではメタンでは薄膜形成が確認されず、原料にメタンを用いた場合には高温での成膜が困難であることが明らかになった。一方、Siを添加した場合には900℃程度の基板温度でも成膜可能であり、高温化が硬度に寄与することもわかった。また、プラズマ中のCNラジカルとN2+イオンの割合をマイクロ波パルスDuty比により制御し、これらの膜との関係についても検討した。CNラジカルとN2+イオンの割合と窒素量は同一の原料ガスでは相関が確認されたが、メタンおよびアセチレンでは同等の割合にもかかわらず、窒素量に大きな差が確認された。このことから、膜中の窒素濃度には非発光種の影響が寄与していることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CNラジカル・N2+イオンが共存する高密度反応場を用いて窒素濃度50%以上の高窒素含有な窒化炭素膜形成のため、高硬度な化学結合成分量が安定になる500℃以上での基板温度で成膜を行い高窒素化を行った。現状では窒素量は27at.%と目標とする窒素量の50%程度であるが、窒素濃度50%以上の窒素量を持つ窒化炭素の生成は非常に困難なため、他の研究と同等の窒素量まで作製できている。さらに、Siを添加した場合に硬度が30GPaと高硬度な膜が得られていることから、このような膜を元に本研究の目的とする長寿命かつ低損失な摺動表面を実現する超硬質かつ超低摩擦な窒化炭素膜の創成のための高窒素含有窒化炭素膜の形成 過程におけるイオンの役割を明らかにする標準試料が得られている。以上より、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
原料ガスにアセチレンを用いた場合に窒素量が増加したため、さらに高次の炭化水素ガスを用いて成膜することで高窒素化を達成し、成膜中のイオン量を変化させることで化学結合とイオンの効果の影響を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
昨年度の予定していた学会がオンライン開催となったため、予定よりも旅費やその他の出費が少なくなった分の繰越金を今年度は学会参加費や研究会への参加にあてることで情報の発信や情報収集にあてたが、今年度も繰越金が発生した。翌年度も学会参加費や研究会への参加にあてることで情報の発信や情報収集、消耗品の購入にあてることで実験を円滑に進める。
|