2023 Fiscal Year Annual Research Report
イオン・ラジカルが共存する高密度プラズマからの超硬質・低摩擦な窒化炭素膜の創製
Project/Area Number |
21K14440
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
田中 一平 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (40781034)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラズマ / CVD / 窒化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
CNラジカル・N2+イオンが共存する高密度反応場を用いて窒素濃度50%以上の高窒素含有な窒化炭素膜形成のため、炭化水素ガス-N2ガスの原料ガスおよび成膜温度、印加電圧を変化させることで高窒素化および高硬度成分であるC-N結合成分の増加を目指した。原料ガスをメタンからトルエンに変更することで窒素量を5.6at.%から33.8at.%と増加させることができた。さらに基板温度を200℃から600℃の間で変化させた結果、温度の増加に伴って生成物は粒状からナノファイバー状へと成長状態が変化し、同時に印加電圧も増加させることでその構造はさらに微細化する傾向を示した。これらの薄膜をラマン分光分析により解析した結果、水素含有量と相関のあるm/IGは温度の上昇に伴い減少し、温度の上昇に伴い膜中の水素量が減少していることが示唆された。一方、C-N結合の成分をX線光電子分光装置によって分析した結果、基板温度と印加電圧の変化に伴い、C-N結合は低温では印加電圧に依存しないが、高温では電圧による変化が確認された。この時の最大のC-N結合成分は30%であり、200℃の基板温度で400Vの印加電圧で得ることが可能であった。しかし、この硬度は1GPa程度であり、水素の含有が高硬度化を阻害していることが推測される。 本研究により、CNラジカルとN2+イオンを制御可能なプラズマ反応場によって高硬度な窒化炭素の合成に重要となる窒化炭素の窒素量とC-N結合量を増加させることが可能であった。さらに、これらの反応場にSiを添加することでSi含有窒化炭素の硬度は30GPa程の高硬度を示すことを明らかにした。
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