2022 Fiscal Year Annual Research Report
イオン交換膜電析法による製鋼スラグ抽出溶液からのリン酸回収
Project/Area Number |
21K14445
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
禹 華芳 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (90880477)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 製鋼スラグ / イオン交換膜 / リン酸回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では製鋼スラグを酸抽出した溶液からリン酸を回収することを目的とする。そのために、①製鋼スラグ抽出溶液中のリンの分離・濃縮;②リン酸塩からのリンのアルカリ抽出;③イオン交換膜を用い、電気透析によるリンの分離の三段階のプロセスからなる提案プロセスについて実験を行った。その結果について以下に総括する。(1)実際のスラグ抽出溶液についての実験を行う前に、その最適な分離条件を検討するため、PHREEQC(水溶液平衡の計算ソフト)を用いて各種条件下で存在するイオン種の計算を行った。その結果、pHが5以上になるとリンイオンはヒドロキシアパタイトとして沈殿する。リンを電気透析法によってリンを分離するには陰イオンの状態で安定的に存在させる必要がある。そのためには、pHは5以下にする必要があることが解明した。 (2)本研究で提案したプロセスによって製鋼スラグ抽出溶液からのリン酸溶液の製造に成功した。スラグ抽出溶液からのPの選択沈澱に用いる凝集沈殿剤としてはFeが最も適しているとわかった。実際のスラグ抽出溶液を対象にFeCl3aqをFe : P=1 : 1になるように添加実験を行ったところ、添加完了と同時に溶液中のPの97%が沈殿物に移行した。得られた沈殿残渣はFe、P、およびH2Oが主であった。得られたFe-P系の残渣を対象にS/L=1:100、pH 12でアルカリ抽出を行ったところ60 minの段階でPの溶出が完了していた。Pの溶出率は98.5%であり、その他の不純物濃度は低かった。また、アルカリ抽出によって得られたNa-P系溶液200mLを対象に28Vでバイポーラ膜電気透析を適用したところ、10 minでPとNaの分離が完了した。P濃縮液でのP回収率は81%であることを解明した。
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Research Products
(3 results)