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2021 Fiscal Year Research-status Report

低原子価チタン酸化物を活用した高機能触媒の開発と学理の構築

Research Project

Project/Area Number 21K14457
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

大友 亮一  北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (10776462)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2023-03-31
Keywords酸化チタン / マグネリ相チタン酸化物 / アセタール化 / Ti2O3
Outline of Annual Research Achievements

低原子価チタン酸化物の酸性質を定量的に分析する方法として指示薬を用いた酸塩基滴定法を検討した.低原子価チタン酸化物は黒色であるため,これに吸着した指示薬の呈色を判断できない.そこで,標準試料として白色の酸化ニオブを用い,酸化ニオブに吸着した塩基性指示薬の呈色から中和点を判断することとした.酸化ニオブ単独で測定した場合と,低原子価チタン酸化物と共存させて測定した場合の滴定値の差を低原子価チタン酸化物の酸量として求めることができた.例えば,アセタール化反応に対して高活性を示したTi2O3の酸量は約10 μmol/gであった.この結果から,Ti2O3上のアセタール化を促進する活性点の量はわずかであり,活性点あたりの触媒活性(活性点の質)が非常に高いことが示された.
低原子価チタン酸化物の結晶形態を制御する方法についても検討した.すでに開発した低原子価チタン酸化物の合成法では,原料TiO2の結晶形態が維持されたTi2O3が生成する.この特徴を活用し,様々な形状・大きさのTiO2原料を用いることによって,Ti2O3の結晶形態を制御することを検討した.1種類のロッド状TiO2,および4種類の大きさの異なる球状TiO2を原料に用いた.各TiO2とTiH2を所定のモル比で摩砕混合して得た前駆体を真空排気しながら加熱することでTi2O3を合成した.各原料TiO2に対して,最適なTiO2/TiH2モル比を検討し,いずれのTiO2からもTi2O3を得ることに成功した.原料TiO2と合成したTi2O3の粒子形態をSEMによって観察したところ,ロッド状TiO2および粒子径の大きな球状TiO2を用いた場合には原料TiO2の大きさ・形状を保持したTi2O3が生成した.他の球状の原料TiO2では,粒子がやや大きくなっていたが,球状を保っていた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では,①低原子価チタン酸化物の酸性発現機構の解明と結晶形態制御による高活性化,②表面チタン原子の酸化還元能および酸性を活用した触媒機能の開拓,を目的としている.
2021年度の研究によって,低原子価チタン酸化物の酸性質を定量的に測定する方法および粒子形態の制御されたTi2O3を合成する方法を確立した.すなわち,①の目標の一部をすでに達成した.低原子価チタン酸化物を焼成によって酸化すると,触媒活性が大きく低下することがわかっている.さらに,再還元によって低下した活性が回復することも見出した.これらは,表面チタン原子の酸化還元により酸点が可逆的に消失,生成しているためであると考え,これらの酸量測定を進めている.この検討から,低原子価チタン酸化物の酸性発現機構を解明できると考えている.
現在,粒子形態の異なるTi2O3のアセタール化に対する触媒活性を評価しており,粒子形態によって触媒活性が異なることを見出している.粒子径が小さくなると触媒活性が上昇する一般的傾向がみられたが,一部のサンプルではこの傾向から外れて極端に低活性であった.この原因として,未反応のTiH2が不純物として粒子表面上に沈着し,触媒活性点を被覆していることが原因ではないかと考えている.TiO2/TiH2モル比を変えて合成したサンプル全体に対して触媒活性評価を行っている.また,未還元のTiO2が触媒表面に残存していることも低活性の原因と考え,こちらについても検討を進めている.
②の目標について,低原子価チタン酸化物を用いたアニソールの水素化脱酸素反応の検討を始めている.この反応には脱アルコキシ化および脱アルキル化反応が含まれ,触媒には酸化還元能および酸性の両方が必要とされる.Ti2O3がもつ酸性質に加えて,表面チタン原子の酸化還元能を活用した触媒機能の開拓を検討している.

Strategy for Future Research Activity

①の目標について,1年目においてTi2O3に限定して確立した合成・分析手法を用いて,Ti3+, Ti4+の混合原子価チタン酸化物の粒子形態を制御し,チタン原子価および粒子形態と酸性質,酸触媒特性の関係を検討する.TiH2を還元剤に用いる方法によって,さまざまな組成の混合原子価チタン酸化物を合成することにすでに成功している.特定の粒子形態をとった原料TiO2を用いることによって,さまざまな低原子価チタン酸化物の粒子形態を制御する.Ti3+, Ti4+の混合原子価酸化物であるTi3O5, Ti4O7, Ti8O15と,Ti2+のみによって構築されるTiOを主な対象とする.
1年目のTi2O3の結果と合わせて,Ti2+ ~ Ti4+までのチタン酸化物の酸性質・酸触媒特性を系統的に調査する.まず,1年目のTi2O3に対する検討に基づいて,球状,ロッド状の中から最も高活性な粒子形態を選定し,その形態をとったさまざまな低原子価チタン酸化物について酸性質・酸触媒機能を検討する.これらの中から最も高活性な低原子価チタン酸化物の種類を決定し,粒子形態を変化させて検討範囲を拡大する.Ti2O3でみられた原子価および粒子形態と酸性質,酸触媒特性の関係が他の酸化チタンにも適用されるか検討し,酸化チタンの酸性質に関する一般的法則があるか検討する.
②の目標について,低原子価チタン酸化物を用いたアニソールの水素化脱酸素反応の検討を進める.まずはTi2O3単味の触媒性能を,反応条件を変えながら系統的に評価する.触媒活性が不十分な場合には,水素活性化能のある金属や金属酸化物などを担持し,Ti2O3を担体として利用した触媒材料の開発を進める.

  • Research Products

    (5 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] A rapid synthesis of Hf-Beta zeolite as highly active catalyst for Meerwein-Ponndorf-Verley reduction by controlling water content of precursor gel2022

    • Author(s)
      Nakamura Taichi、Kamiya Yuichi、Otomo Ryoichi
    • Journal Title

      Microporous and Mesoporous Materials

      Volume: 333 Pages: 111743~111743

    • DOI

      10.1016/j.micromeso.2022.111743

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 異なるTiO2原料を用いたTi2O3の合成2021

    • Author(s)
      1.岩本麻子,長尾昌紀,大友亮一,神谷裕一
    • Organizer
      化学系学協会北海道支部2021年夏季研究発表会
  • [Presentation] Catalysis of metal oxide materials with less stable valence2021

    • Author(s)
      Otomo Ryoichi
    • Organizer
      The 3rd International Conference on Science, Mathematics, Environmental and Education
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Ti2O3のアセタール化に対する触媒活性に前処理が及ぼす影響2021

    • Author(s)
      田中太,岩本麻子,長尾昌紀,大友亮一,神谷裕一
    • Organizer
      第128回触媒討論会
  • [Presentation] 粒子径および形態の異なるTiO2からのTi2O3の合成2021

    • Author(s)
      岩本麻子,長尾昌紀,大友亮一,神谷裕一
    • Organizer
      第51回石油・石油化学討論会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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