2021 Fiscal Year Research-status Report
複合クラスター化を利用した高耐久性自動車触媒の創製
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21K14463
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
林 峻 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 研究員 (80869446)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 触媒 / クラスター / ナノ材料 / 自動車触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車触媒の活性成分である貴金属ナノ粒子の活性や耐久性の向上は、その高寿命化や貴金属使用量の低減のために重要である。あらかじめ貴金属成分を酸化物成分と複合クラスター化することで、貴金属ナノ粒子の分散性や耐久性の向上を試みた。複合クラスター化を利用してRh系触媒の調製し、自動車排ガス浄化反応としてNO-CO-C3H6-O2反応を行い活性を評価した。擬似的なエイジング処理(空気中、1273K)を施した後の活性から耐久性を評価した。あらかじめRhをMo酸化物と複合クラスター化して調製した触媒は、共含浸法によるRh-Mo触媒と比較して、活性および耐久性が向上することを見出した。一方、共含浸法によってMoを導入したRh-Mo触媒では、Rh単独の触媒と比較して活性や耐久性に変化は見られなかった。HAADF-STEM測定およびEDS分析によると、複合クラスター化によって調製したRh-Mo触媒では、RhおよびMoの両成分からなるナノ粒子が形成されていた。従って、複合クラスター化による活性および耐久性の向上は、Rh/Mo酸化物界面が高密度に形成されたことに由来すると考えている。 反応雰囲気における触媒表面の活性種をin situ DRIFT測定によって評価したところ、複合クラスター触媒では、イソシアネート種の形成が確認された。これは、触媒表面でC3H6の部分酸化種によるNOの還元が進行することを示唆している。従って、Rh/Mo酸化物界面上の酸素原子や酸素欠陥が反応に重要な役割を持つと考えている。今後、Rh/Mo酸化物界面が反応に与える役割について検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合クラスター化を利用して調製したRh-Mo触媒が、共含浸法によって調製した触媒およびRh単独の触媒と比較して、優れた活性および耐久性を示すことを見出した。この結果は、高温でのエイジング処理を施した触媒についても、触媒の活性や耐久性がその組成のみならず調製法によって制御可能であることを示唆している。in situ DRIFT測定による反応雰囲気での触媒表面の活性種の観察は、複合クラスター化がもたらした高活性化および高耐久化の起源を明らかにする端緒となる。従って、研究が順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
高密度なRh/Mo酸化物界面の形成が反応に及ぼす効果を明らかにする。複合クラスターの構造因子が触媒の活性および耐久性に与える効果について検討を進める。
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