2021 Fiscal Year Research-status Report
Inter-organ metabolic flux analysis for glucose-administrated mice
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21K14467
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大野 聡 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60755734)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 代謝フラックス解析 / メタボローム分析 / 反応速度論 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の代謝の理解には、代謝フラックス(代謝反応速度)の計測が重要である。しかし、従来の代謝フラックス解析手法では、生体内での臓器間の代謝物の移動を考慮できない。本研究では、13C-グルコース投与後のマウスの血液・肝臓・筋肉のメタボロームデータを用いて、糖投与後のマウスの臓器内・臓器間(臓器連関)の代謝フラックスの時間変化を解明する。さらに医学への応用として、肥満モデルマウスに対しても同様の実験・数理解析を行い、肥満に伴う代謝異常を臓器連関の代謝フラックスとして定量的に明らかにする。 当該年度においては、臓器内・臓器間(臓器連関)の代謝フラックスを推定するための方法論の開発を行った。代謝フラックス解析では、メタボロームデータの計測値と推定値の残差二乗和の最小化により代謝フラックスを推定するが、当該年度においてはフラックスの時間変化についての正則化項を加えることを検討した。その結果、Lq正則化が当該研究の実施に最適であることが判明した。当該年度において開発した手法を用いて、次年度以降に実際の計測データを用いて代謝フラックスを推定する予定である。 また、メタボローム・プロテオーム・トランスクリプトームデータから定常状態における代謝フラックスを推定する手法であるOMELETを開発することに成功し、原著論文として発表した。さらに、代謝フラックスを推定する先行研究および、代謝フラックスから代謝制御の理解を目指した先行研究について調査し、総説として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代謝フラックス解析の方法論の開発に成功し、次年度以降に実際のデータ用いて代謝スラックスを推定する準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において開発した手法を用いて、次年度以降に実際の計測データを用いて代謝フラックスを推定する予定である。代謝フラックスを推定したのちには、糖投与後の各臓器内での代謝フラックスの時間変化や、血液を介して臓器をまたぐ反応経路の代謝フラックス(臓器間の代謝フラックス)の時間変化を明らかにする。具体的には、肝臓での糖生産と糖消費の切り替わり、およびCori回路などの代謝フラックスの時間変化などを定量する。
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Causes of Carryover |
当該年度は代謝フラックス解析の方法論の開発を優先した。次年度以降に実験を実施し、実際のデータの計測およびそれを用いた代謝フラックスの推定を行う予定である。
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Research Products
(5 results)