2023 Fiscal Year Annual Research Report
音響波を用いたナノスケール磁気・強誘電ドメインの生成と駆動
Project/Area Number |
21K14488
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 飛鳥 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (90823584)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超高速時間分解電子顕微鏡 / 5次元走査型電子顕微鏡 / ナノ音響波 / 磁気誘電ドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、薄片等のナノ構造へと光照射することで生じる「ナノ音響波」を用いて磁気・誘電ドメイン等のマクロな秩序を駆動するものである。ナノメートル・ピコ秒の時空間分解能を有する超高速時間分解電子顕微鏡を用いることにより、磁気・誘電ドメインや、ナノ音響波といった物質中の様々な現象を俯瞰することができる。 昨年度までは、超高速時間分解ローレンツ電子顕微鏡や、5次元走査型電子顕微鏡(5D-STEM)といった、磁気・誘電ドメインや、ナノ音響波を可視化可能な測定技術の開発を行い、磁性体中のスキルミオン運動や、シリコン薄片中のナノ音響波の可視化技術を確立した。特に5D-STEMでは、音響波の振幅や原子変位の方向を定量的に時空間マッピングする方法を世界で初めて確立した。 今年度はまず、5D-STEM解析を指向して開発した、汎用的多次元データ解析システムをオープンソースソフトウェアとして公開した。さらに、上記で開発した各種測定手法を用いて、磁気ドメインと、ナノ音響波の相互作用の様子を計測した。当初の予定ではペロブスカイト型酸化物系の測定を予定していたが、より磁気音響結合の研究が進む鉄ガーネット系試料での測定を行うことで、ナノ音響波に駆動される磁気ドメインダイナミクスを明らかにした。特にナノ音響波に特有な歪みや回転成分が磁気ドメインの運動を駆動する可能性があり、今後このような磁気ドメインと音響波の結合について精査し、論文発表の予定である。
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