2022 Fiscal Year Annual Research Report
Band gap formation in graphene by strain-induced gauge field
Project/Area Number |
21K14493
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
友利 ひかり 筑波大学, 数理物質系, 助教 (30740667)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グラフェン / ひずみ |
Outline of Annual Research Achievements |
単原子膜は次世代の電子デバイス材料として注目を集めています。中でもグラフェンはスケーリング則に有利な単原子層であると同時に、他の単原子膜を遥かに上回る電界効果移動度を持っています。しかし、グラフェンのギャップレスという電気伝導特性が高速トランジスタ応用における電流オフ状態の形成を阻んでいます。本研究では、このギャップレスによる制約を乗り越えるため、ひずみ誘起ゲージ場を用いたバンドギャップ生成に注力しました。 グラフェンは、格子ひずみによって擬似的なベクトルポテンシャル(ゲージ場)が生じるという特殊な性質を持っています。ひずみ誘起ゲージ場を利用したバンドギャップ生成についての理論提案は複数存在しますが、グラフェンのひずみ制御の難しさからその実験的検証は進んでいませんでした。そこで本研究では、独自の手法を用いてグラフェンのひずみ分布を制御し、トランジスタ応用に必要十分な大きさのバンドギャップ生成を実現することを目指しました。 2022年度では、周期ひずみの導入手法の改良と密度汎関数法を用いた周期ひずみグラフェンの電子バンド構造の計算を行いました。これらの研究は、ひずみ誘起ゲージ場を制御することで生じるディラック電子系特有の現象についての理解を深めることに繋がることが期待されます。
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