2021 Fiscal Year Research-status Report
局在表面プラズモン共鳴によるキラル分子の円偏光発光特性の変調機構の解明
Project/Area Number |
21K14495
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 卓磨 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10876965)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 円偏光発光 / キラル分子 / 走査トンネル顕微鏡 / 単分子発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラル分子の円偏光発光特性は、近接する金属ナノ構造の局在表面プラズモンによって大きく変調されることがわかってきたが、未だにその詳細は未解決である。 そこで、本研究では、走査トンネル顕微鏡(STM)をベースにしたトンネル電子誘起発光測定を用いることで、キラル分子の円偏光発光特性と、金属ナノ構造の相関を、ナノスケールから精査することを目指している。このために、STM発光測定に用いられてきたNiAl基板上の酸化膜に、Au島を成長させ、さらにその上に、キラル分子であるBNC-PTCDI分子を蒸着した系を使用する。 この系を用いて、 1.金属ナノ構造付近に吸着したキラル分子の吸着位置や吸着構造、2.金属ナノ構造のサイズや形状、3.分子のクラスターサイズを制御し、各々の条件において、キラル分子の円偏光発光特性を定量的かつ単分子レベルで評価することを目的としている。 本年度は、比較対象となる、Au島を成長させる前の、NiAl(001)基板に成長した酸化膜上でのBNC-PTCDI分子のSTM誘起発光測定を行う予定であった。しかし、本年度は、STM測定装置の、探針の不良や制御系の不備などが相次ぎ、発光測定までにはできなかった。装置の不良を解決するとともに、本年度は、NiAl(001)基板の清浄化プロセスを確立し、STMにより表面の平坦性を確かめることに成功した。現在、酸化膜作成条件を探索中である。また、本年度中に、Au島やBNC-PTCDI分子を成長するための準備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、STM測定装置において、探針を動作するためのピエゾ素子の不良やSTM測定の制御系の不備などの問題が相次いだため、当初予定していたよりも研究が遂行できなかった。そのため、STMをベースとした発光測定をすることができなかった。現在、装置の問題はすべて解決しており、滞りなく実験を進行することができている。今後はSTM探針による円偏光発光測定に着手する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずNiAl(001) 基板に成長した酸化膜上でキラル分子の円偏光発光測定を行う。また並行して、Au島の蒸着にとりかかり、STMを用いて成長条件を探索する。これらの準備が整い次第、Au島近傍で、キラル分子の円偏光発光を測定し、キラル分子の吸着位置や吸着構造と、円偏光発光との相関を明らかしていく、
|