2022 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を利用した新規がん治療技術におけるがん殺傷メカニズムの解明
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21K14502
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
城 鮎美 (瀬ノ内鮎美) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 主任研究員 (60707446)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射光単色Ⅹ線 / 増感剤 / がんスフェロイド / 照射線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ粒子にガドリニウムやヨウ素を含ませた薬剤をがん細胞に取り込ませてそれらのK吸収端直上のエネルギーを持つ放射光単色X線を照射すると、がんが非常に効率よく殺傷されることが明らかになった。このようながんの放射線治療で殺傷効果を高める薬剤は増感剤と呼ばれ、放射線治療の効率化をはかるために研究が進められている。上述のナノ粒子薬剤は従来の増感剤よりも1桁以上高い増感効果が得られており、そのメカニズムを解明するため本研究では照射X線量の定量化を行った。2021年度はイオンチャンバーを用いてフォトンフラックスを実測しX線吸収によるエネルギー付与から計算した線量、および、フリッケ線量計を用いた線量評価を実施した。2022年度はさらにOSL線量計による測定や放射光計算プログラムSPECTRAを用いたフォトンフラックスの計算を実施した。その結果、OSL線量計による線量はヨウ素のK吸収端直上のエネルギーである33.2 keVのとき0.03 Gy/minと推定された。現在、OSL線量計によって得られた線量値からイオンチャンバーによって得られるカウント値の校正を行っているところであり、これによって今後はイオンチャンバーによって得られたカウント値から線量評価を実施することが可能となる。また、本研究で用いている増感剤は30分の照射でもがんスフェロイドの破壊に対して十分な効果を発揮しており、その線量は0.9 Gy/30 minと算出されることから、従来の放射線治療と比べても2桁以上小さい線量でがんの殺傷効果を期待できることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)