2021 Fiscal Year Research-status Report
新たな膜内電圧制御に基づくイオンチャネル解析プラットフォームの創生
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21K14505
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小宮 麻希 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00826274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工細胞膜 / イオンチャネル / 薬剤スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜を模した人工脂質二分子膜を形成し、膜タンパク質の1種である電位依存性ナトリウムイオンチャネルNav1.5を包埋し、そこに従来印加されてきた膜貫通電圧に加えて、膜平行電圧という新たなインプットを加えた。その結果、膜貫通電圧プロトコルのみではチャネルの不活化によって検出されなくなった電流応答が膜平行電圧印加によって再活性化される現象を発見した。この電流応答はNaチャネルの阻害剤テトロドトキシンによって抑制されており、膜平行電圧が電位依存性Naチャネルの開孔を促す新パラメータとして機能しうることを示唆した(Faraday Discussions, in press)。電位依存性イオンチャネルは生体の維持に不可欠な活動電位の発生に関与する重要な膜タンパク質であり、そのチャネル電流応答の開口確率ならびに測定効率を向上させる可能性を持つ膜平行電圧というパラメータは、イオンチャネル解析系の飛躍的な発展へと繋がると期待される。しかしながら、この膜平行電圧がどのようにイオンチャネルの開孔を促すのかは不明であり、膜平行電圧という新規パラメータをイオンチャネル解析系へ展開する上でも、その作用原理を解明することは必須である。そこで我々は、膜平行電圧が脂質分子の物性を変化させ、膜物性の変化がイオンチャネルに作用する可能性に着目し、その物性変化を捉えるべく、蛍光イメージング系と人工細胞膜系を融合したシステムの構築を行った。来年度は、構築した蛍光イメージング系を用いて、膜平行電圧の作用機構について調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不活化により検出されなくなった電位依存性ナトリウムイオンチャネルNav1.5のチャネル電流応答が、膜平行電圧を印加することによって再活性化する様子を観測することができた。このことから、膜平行電圧が電位依存性イオンチャネルの開孔を促すパラメータとして有効であることを示すことができた。次の段階として、膜平行電圧がイオンチャネル開孔を促す作用原理を解明することが重要となるが、本年度はそのための蛍光イメージングシステムを立ち上げ、人工細胞膜系との融合システムの構築に成功した。来年度はこの構築したシステムを用いて、膜平行電圧の作用原理を調べていく予定である。以上の通り、当初の予定通り進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、構築した人工細胞膜に基づくイメージング系を用いて、蛍光色素をプローブとして用いた場合の、膜平行電圧印加の有無における膜物性の変化を調べていく。また、現在は直流電圧源を用いて膜平行電圧を印加しているが、それ以外にも様々な電圧波形を膜平行電圧として印加した場合に、どの入力が最も大きな作用効果を発揮するのか検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染防止のために国際学会・国内学会の全てにおいてオンライン開催となったため、旅費は発生しなかった。また、人件費も本年度は発生しなかった。さらに、購入を予定していたイメージング解析のためのソフトウェアに関しては、優秀なフリーソフト(micro-Manager)を用いて代用することが可能であることが実験的に確かめられたため、購入はしなかった。その他、新型コロナウイルスの関係で物流が遅延したため、納期が間に合わなかった物品が複数あった。 翌年度においては、蛍光色素などの蛍光イメージングに関連した物品、及び蛍光プローブの特性評価に必要な物品、また、膜支持体を作製するために必要なメタルマスクなどの物品を購入するのに使用する予定である。
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[Presentation] 膜内電圧制御に基づく新たな人工細胞膜イオンチャネル解析系の構築2021
Author(s)
小宮麻希, 佐藤まどか, 鹿又健作, 渡辺恭也, 安藤大貴, 陰山弘典, 馬騰, 横田澪央, 但木大介, 山本英明, 戸澤譲, 廣瀬文彦, 庭野道夫, 平野愛弓
Organizer
日本分析化学会第70年会
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