2021 Fiscal Year Research-status Report
Resonant frequency tracking system for MEMS vibrational energy harvesters
Project/Area Number |
21K14509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 浩章 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (70833747)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IoT / MEMS / 振動発電 / エレクトレット / 共振周波数制御 / PLL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境振動源の周波数変動に連動しMEMS振動発電素子の共振周波数をシフトさせるオートコントロールシステムの実現に挑戦する。特に、外部インピーダンス変化による振動発電素子の共振シフト効果を応用し、外部振動と共振周波数を比較する位相比較器により後段インピーダンスを自動で調整する、発電出力の自動調整システムを実証する。本研究の実現は、共振型振動発電素子の出力性能を維持したまま周波数への過敏さを緩和するため、刻一刻と変わる実環境でも振動発電素子の最大発電性能を発揮し続けることを可能にする。 研究代表者らはこれまでに、櫛歯構造の側面にエレクトレットを形成する技術を用いてエレクトレット型MEMS振動発電素子を実現し、共振時に最大発電電力が1.2ミリワットを超えることを実証した。この発電電力により無線回路を1分以下の間隔で間欠駆動させた。また、外部負荷により共振周波数を調整可能であることも実証している。 本年度は、発電出力と同時にMEMS発電機構の位相をモニタ可能なエレクトレットMEMS型振動発電素子を開発し、共振周波数付近での位相変化を実測することに成功した。櫛歯電極の一部が発電用と位相モニタ用に分離しており互いに影響はしない。さらに、2端子入力EX-OR回路を使った位相比較器を提案しシステム全体の等価回路モデルからその有効性を解析的に検証した。また、システムに必要な部品を選定しブレットボード上に試作を行った。現在、位相モニタ可能な振動発電素子とシステムを一体化し、発電出力の自動調整システム全体の実証実験に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、「位相比較器の試作」と「インピーダンス調整回路の試作」を進めることを計画していた。この2つは概ね達成できている。 「位相比較器の試作」では、最初に、発電出力と同時に発電機構の位相信号を取得可能な振動発電素子を新たに開発した。これは、発電用と位相モニタ用のエレクトレット櫛歯電極が内部で分離した構造をしている。外部振動により発電機構が励振した際、外部に取り付けた加速度センサからの出力波形と位相モニタ出力波形を比較することができ、共振周波数付近で2つの波の位相差が変化することを確認した。さらに、2つの波形を2端子入力EX-OR回路に入力しその出力をローパスフィルタで平滑化することで、位相差を直流電圧値へと変換する位相比較器を提案した。既に位相比較器は試作しており動作を実証している。 次に、「インピーダンス調整回路の試作」では、位相比較器からの直流電圧値によりn-MOSFETのゲート電圧を制御し発電素子後段のインピーダンスを調整する機構を作製する。自動調整システム全体のSPICE等価回路モデルを作成し、発電素子後段に接続したn-MOS FETのゲート電圧制御により共振周波数をシフトさせることが可能であることを実証した。既に実際のn-MOS FETを選定しており位相比較器と共に試作済みである。 これにより、次年度に行う予定であった「自動調整システム全体の試作」がほぼ完了しており、現在は発電素子と自動調整システムを接続し、発電出力調整の実証実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は「自動調整システム全体の試作」を続けて行い、位相モニタ可能な振動発電素子と自動調整システムを組み合わせ、システムの動作を実証する。 本年度までで自動調整システム全体の試作が完了した。次年度はシステム全体の動作確認を行う。既に、実際に振動試験を行い、外部の加速度センサと発電機構の位相を比較するEX-OR回路の動作は確認できている。今後は、位相差をn-MOS FETのゲート制御電圧に直し、発電素子の共振駆動から周波数がずれた際、その位相ずれを検出し自動で最適インピーダンスに調整できることを実証する。さらに、自動調整システムの有無による発電出力の広帯域化を実証し有効性を示す。
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Research Products
(8 results)