2021 Fiscal Year Research-status Report
ナノ周期構造における光の反射を利用した高感度磁場センサーの開発
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21K14515
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高島 祐介 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (10843948)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ構造 / 磁気光学効果 / 紫外光 / 表面波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光波長以下のナノ周期構造における光の反射現象を利用し、高感度な光学式磁場センサー開発を目的としたものである。 令和3年度は、磁性体ナノ周期構造における光固有モードの運動量およびエネルギー保存則を用いて、光と磁場の相互作用(磁気光学効果)増強効果と構造寸法および構造材料の関係性について調査を行った。さらに有限差分時間領域(FDTD)法による数値計算を用いて、構造内の電磁界分布を可視化し、上記デバイス実現に向けた構造の最適化を行った。 理論解析の結果、磁性体ナノ構造/誘電体/磁性体基板構造において、ナノ構造による回折光の運動量が、磁性体表面の電子の集団振動の運動量と一致した場合、磁性体表面に固有モード(表面プラズモン)が励起され、磁気光学効果が増強されることが分かった。特に紫外光によって表面固有モードを励起することで、ナノ構造がない場合に比べ、約224倍の非常に大きな磁気光学効果が得られることが分かった。このとき、FDTD数値計算によって、磁性体ナノ構造および磁性体基板表面に非常に強い電界が集中しており、これが磁気光学効果増強のカギになることを明らかにした。 また、次年度に向けて電子線露光および真空蒸着を用いたナノ構造作製プロセス条件の最適化についても実施した。試作したナノ構造パタンを電子顕微鏡と原子間力顕微鏡によって観察し、作製時に生じる構造の不完全性発生メカニズム解明およびその抑制を検討した。観察結果に基づき、露光時間、現像時間、現像温度、蒸着速度を最適化し、100nm程度のナノ構造パタンの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に基づき、①固有モードの運動量とエネルギーの関係およびFDTD数値計算を用いて、磁気光学効果増強と構造寸法、構造材料との関係性について明らかにすることができた。②数値計算によって、磁性体表面の光固有モードを用いて約224倍の磁気光学効果の増強が得られることを確認し、そのメカニズムについても明らかにした。③ナノ構造作製プロセス最適化を実施し、数百ナノオーダーの微細構造を自在に作製することができた。以上によりおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた基礎特性に基づき、最適化したナノ構造を試作する。試作デバイスに磁場を印加し、その磁場検出感度等の性能評価を行う。さらに実デバイスの特性評価結果を数値解析にフィードバックし、高感度磁場センサー開発を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度においては、コロナウィルスの蔓延等によって、当初予定していた学会等の成果発表の多くがオンラインで行われることとなったため、その分の旅費を次年度に計上している。本次年度使用額はナノ構造作製時に使用する薬品(電子線レジスト、アセトン、メタノール等)およびデバイス光学評価用の素子(レンズ、偏光子等)購入に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)