2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14517
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森 宣仁 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70806215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | organs-on-chip / がん / 転移 / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは本邦における死因の27%強を占める最大の要因である。原発巣で発生したがんは腫瘍血管と呼ばれる毛細血管を誘導し、栄養を得て増殖し、周囲の組織に浸潤し、最終的には腫瘍血管を通じて他の臓器へと遠隔転移する。がんによる死亡の約90%が転移によると言われている。このため、がんの転移過程の解明と、転移過程をターゲットとした抗がん剤開発が喫緊の課題であり、転移過程の解明及び抗がん剤開発を推進するためのモデルが求められている。そこで本研究は、がんの転移過程を再現可能な3次元組織灌流システム「3Dがん転移模倣システム」を開発し、その有用性を実証することを目的としている。2021年度はこの目的に向けて、3次元がん組織の構築及び評価を行った。肝がん細胞株1種及び大腸がん細胞株3種を用いて、灌流可能な主血管及び毛細血管網を有する3次元がん組織の構築条件の検討を行った。これにより各種がん細胞で共通に利用可能な構築条件(灌流流量、培養液、細胞密度等)を導出し、本研究の手法が様々ながん細胞へ適用可能であることを示した。また構築した3次元がん組織について、組織切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色及び免疫染色により血管の性状や組織の状態を評価したところ、がん細胞が毛細血管内に侵入し、さらには一部毛細血管を閉塞させている様子が観察された。これは3次元的に構築した毛細血管網だからこそ観察される現象であり、複雑な転移過程を分析するための一助となると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス流行により研究所の稼働に制限が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元がん組織に対する抗がん剤の評価及び評価方法の検討等を推進する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス流行による研究所稼働に制限が生じた結果、当初予定していた実験を次年度以降に計画変更したため。
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