2022 Fiscal Year Research-status Report
超高真空~準大気圧をつなぐ環境制御型AFMの開発と光触媒表面の欠陥の影響の検証
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21K14534
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
勝部 大樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (00831083)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 光触媒 / 表面・界面物性 / 水吸着構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光触媒材料表面の欠陥と光触媒反応の関係性、特に水吸着反応との関係を明らかにするため、超高真空から準大気圧まで雰囲気制御が可能な環境制御型原子間力顕微鏡を開発し、原子レベルで光触媒表面、水分子の吸着、吸着した水分子が構成する水膜と光触媒界面を観測し、その構造を明らかにすることを目的としている。 全研究期間の2年目となる令和5年度は、研究代表者の所属機関の異動に伴い、装置の梱包、移設、再立ち上げ作業を行った。また、極低温走査型トンネル顕微鏡を用いた光触媒表面における光触媒反応の予備実験を行った。その詳細について以下にまとめる。 (1) 当初計画では予定になかったが、研究代表者が所属の異動を行ったため、本年度は急遽本研究で用いる装置の移設、再立ち上げを行った。そのため、本来の計画で行うはずであった水雰囲気中での光触媒表面の原子分解能観測には至らなかった。移設した環境制御型AFMを用いた実験については、最終年度である次年度に行うことができるように移設後のメンテナンスを行っている段階である。 (2)(1)の移設作業と並行して、既に稼働している極低温STMを用いて、光触媒表面における低曝露量の時の水分子の吸着構造の観測を行った。本実験の結果、安定して水が吸着している様子を原子スケールで観測することができ、吸着サイトに関する知見を得た。これをベースに光照射による光触媒反応の予備実験を行ったところ、水分子が反応し、別の吸着構造が観測できた。本予備観測により、実際に光触媒反応を観測できる可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属機関の異動に伴う装置の移設のために、構築した実験系のメンテナンスと再立ち上げ作業を行っているところである。一方で、異動先の研究室で既に稼働中の極低温操舵型トンネル顕微鏡を用いた光触媒材料表面への低曝露量での水吸着、および、光照射による光触媒反応の観測を行うことができた。以上より、当初予定していた水雰囲気下での光触媒表面の原子分解能観測を行うには至らなかったものの、低曝露量の表面での水吸着、および、光触媒反応に関する知見を得ることができた。 以上より、当初計画の実験を行えなかったものの、研究について一定の進捗が得られたことから区分を「(3)やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
装置移設後の立ち上げ作業については、全体の70%が終了している段階にある。また、予備実験として、別の実験装置で行った試料作製条件の調整については完了しており、装置が立ち上がれば、すぐに実験を開始できる状況にある。 そのため、次年度前半は、装置の立ち上げと動作確認を行い、本来計画していた水雰囲気下での光触媒表面の観測に取り組む。
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