2022 Fiscal Year Research-status Report
水銀フリー温度標準の実現に向けた熱力学温度に基づく新規温度定点の開発と評価
Project/Area Number |
21K14543
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
河村 泰樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (80803858)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水銀の代替 / 温度定点 / キセノン / ITS-90 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度作製した高純度キセノンガスを用いた新規三重点セルを用い、キセノンの三重点を高精度に実現・評価したところ、実現の不確かさが0.33 mKと、水銀の三重点実現と同等の不確かさで実現可能であることを示した。また、開発したキセノンの三重点実現装置、二酸化炭素の三重点実現装置を用いて標準白金抵抗温度計(SPRT)を校正、電気抵抗の温度依存性を基準関数・偏差関数を用いて構築した水銀フリー温度目盛TCO2、TXeを評価した結果、既存の国際温度目盛T90との差TCO2-T90は最大でも0.15 mKである一方で、TXe -T90は最大で0.35 mKとなった。ただし、この差はT90の実現不確かさの範囲であることから、水銀フリー温度目盛は既存の国際温度目盛の代替として利用可能であることを明らかにした。本研究成果について、応用物理学で発表を行った。また、昨年度に国際計測連合世界大会(IMEKO2021)にて受賞した、SF6を用いた水銀フリー温度目盛についての招待論文が一報発行された(Y. Kawamura and T. Nakano, Non-uniqueness and propagating uncertainties of the temperature scale realized using the triple point of sulfur hexafluoride, Measurement;Sensors, 24, 2022, 100464)。一方で、水銀の三重点の代替候補のうちSF6の三重点、CO2の三重点の熱力学温度Tを、熱音響気体温度計(AGT)で計測することを目指している。本年度は低温高圧下でAGTを稼働させるためのシステムを作製し、そのテストを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、試料・治具の納入の遅れにより、三重点セル作製に遅れが生じていた。作製したセルを用いた高精度三重点実現と評価、及び作製したセルを用いた水銀フリー温度目盛の実現と評価については順調に進んでいる。熱力学温度計測に関しては、昨年度構築したAGTの圧力容器は、低温高圧下で気体の漏れが生じることが判明した。本年度は低温高圧下でAGTを稼働可能なシステムを再設計し作製を行った。部品納入時期の遅れも含めて、予定よりも遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
【Xeの三重点の不純物効果の解明】純度の異なるサンプルを用いたキセノンの三重点の高精度実現を行い、試料中の不純物が三重点温度に与える影響を解明する。 【新規温度定点候補の熱力学温度測定】開発したSF6の三重点、CO2の三重点を用いて校正されたSPRTを組み込んだAGTを低温高圧下に適応したシステムに組み込み、それぞれの熱力学温度Tの計測を目指す。
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Causes of Carryover |
年度末に作製依頼を行ったAGT固定用治具の会計が次年度会計扱いとなったため、次年度使用額として処理した。繰り越し分は上記治具の代金を予定している。
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Research Products
(2 results)