2022 Fiscal Year Annual Research Report
γ/γ’二相組織を有するFe基超合金の開発-耐熱鋼を超える新規高温構造材料
Project/Area Number |
21K14546
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 正昊 京都大学, 工学研究科, 助教 (20889109)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 耐酸化性 / クリープ特性 / 高温強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はFe-Ni-Geプロトタイプ3元系合金の相平衡、耐酸化性及び力学特性に及ぼすCr, Si添加の影響を調査し、強度と環境耐性両立の観点からFe-Ni-Ge-Cr-Si五元系合金の候補組成を提案した。しかしながら、Cr, Siのみの合金化では、高温強度に直結するγ’体積分率は700℃では50v.v.%と十分ではない。本年度はL12-(Fe,Ni)3Ge(γ’)相の相安定性をさらに高め、高温強度を向上させるために,Ti, Ta, Nb, Hf, V, W, Mo等の元素添加の相平衡及び力学特性に与える影響を調査した.その結果、Ta, Nb, Hfの固溶限が極めて低く、均一なγ/γ’二相組織が得られないこと、Ti, V添加はγ’体積分率の上昇に寄与しないことが判明された。一方、少量(~0.3 at.%)のW, Mo添加はγ/γ’二相合金の降伏応力、特に750℃での高温強度を向上する効果が確認された。多結晶材による高温圧縮試験では、全温度域で{111}<101>すべりの活動が確認され、高温域での高温強度の低下がγ’体積分率の現象に一致することが判明された。相平衡の観点から、γ’相の体積分率は~750℃を境に急激に減少する特徴があるため、γ’体積分率現象の閾値温度を高温側にシフトされることが、合金の使用温度を向上する一つの要であることがわかった。 単結晶材によるクリープ破断試験では、プロトタイプ三元系組成の合金は700℃/100MPaの条件では80h時間で破断し、クリープ特性の不足が判明された。同一クリープ温度(750℃)での荷重急変試験では、指数則クリープの指数n~8.6と極めて大きい、すなわち転位クリープであることが判明された。設計合金のγ’強化相の高温強度が未だに不十分であることがわかり、目標使用温度700℃を達成するためには、更なるγ’高温強度の向上が求められる。
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