2022 Fiscal Year Research-status Report
非エルミート光学を用いた新奇なプラズモニック光学素子の実現
Project/Area Number |
21K14551
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森竹 勇斗 東京工業大学, 理学院, 助教 (50783049)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラズモニクス / メタマテリアル / ナノフォトニクス / 非エルミート系 / 相変化材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非エルミートフォトニクスをプラズモニック系で実現することで、質的に新たな機能をもった光学素子を実現することを目的としている。具体的には、金属構造の結合系におきて発現する例外点における特異な固有状態を利用して新奇な光学素子を目指す。 本年度は、主に(1)GSTのレーザ相転移に関する実験、(2)例外点を用いた一方向放射の理論の構築、(3)光非エルミートスキン系の理論・計算による検討、を行った。 (1)では、レーザによるGSTの可逆的な相変化を実現するために、高出力パルスレーザを用いた実験系を構築した。パルスレーザのピークパワー、パルス時間幅、パルス数を適切に設定することで、GST薄膜試料において、可逆的な相変化の制御に成功した。 (2)では、非エルミートプラズモニック系の例外点を用いた新たな現象として、ホイヘンスダイポールによる一方向放射現象について、詳細な解析を行った。その結果、得られた指向性放射が確かに非エルミート性に由来した現象であることを確かめた。また、現象を定量的に再現するモデルを構築した。これをプラズモニック領域に拡張する方法や、光入射化で発現する非対称な現象の探索、単一の結合系での実現可能性について、今後検討していく。 (3)では、均一媒質における光非エルミートスキン効果について、理論的・数値的な検討を進めた。その結果、損失と利得が釣り合ったような系を実現する条件や、それにおいて発現するスキン効果の特徴を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)本研究の主眼である動的プラズモニック素子の実現に向け、素子の設計は昨年度中に完了し、さらに今年度、GSTの動的相転移に成功した。これらにより、本研究に必要な要素技術の開発が完了した。今後、得られた実験条件を設計にフィードバックし、再設計した後にデバイスの作製・評価に取り掛かる。 (2)例外点を用いたホイヘンスダイポールの形成では、現象を定量的に再現する単純なモデルを明らかにした。これを用いることで、短波長化(プラズモニック構造での実現)のための設計指針が得られたので、それをもとに具体的な構造設計を今後行って行く。 (3)光非エルミートスキン効果については、観測に必要な条件や、実験的に実現可能な構造について明らかになってきた。今後その成果をまとめつつ、観測に向けた検討を行って行く。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる23年度では、プラズモニック光学素子における非エルミート系特有の現象の実験的観測を目指す。 (1)金属ナノ構造の作製とGST装荷装荷を行い、顕微スペクトル測定によって評価する。例外点に特徴的な、非対称円偏光変換の測定を行うことでデバイスを評価する。また、レーザ照射によるGST相転移に伴う特性変化の観測を目指す。 (2)プラズモニック構造による非エルミート誘起一方向放射現象の探索を行い、実験的観測に向けた検討を進める。 (3)観測に関する検討から得られた知見を基に、我々がもつバンド測定装置による、スキン効果の観測について検討を進める。
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Causes of Carryover |
2022年度における、実験機材の導入の遅れに伴い、実験機材導入計画が全体として売り素にずれたため。2022年度は、国際情勢の影響で納期が大幅に遅れる基材があったことと、実験室の移設があったために、機材購入が遅れた。次年度使用額は、主に今年度の光学部品の宇購入に使用する。
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Research Products
(6 results)