2021 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical study of photoinduced force scanning microscopy for observation of excited states of single molecules
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21K14554
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山根 秀勝 北里大学, 理学部, 助教 (10867823)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラズモン / 光誘起力顕微鏡 / 光マニピュレーション / 離散双極子近似 / 光物性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、従来の離散双極子近似法を、分子の波動関数をあらわに取り入れることが可能な形式に再定式化し、現実的な分子モデルを元に、単一分子の光誘起力顕微鏡測定を理論的に解析し、単一分子と局在電場との微視的な相互作用が力を通していかに「観測」されるかを明らかにすることである。 令和3年度初頭において、分子の波動関数の情報を取り込んだ電場解析手法の実用化を早急に達成することができた。この解析手法を用いて、単一分子の光誘起力顕微鏡(PiFM)測定の理論的解析を行った。本研究により、PiFMにおける原子スケールの分解能を実証し、単一分子の電子遷移の空間構造に対して近接場イメージングが可能であることを理論的に実証した。PiFM測定において、局在場との相互作用により、単一分子の光学許容遷移のみならず、光学禁制遷移に対しても、その分極構造を反映する像が得られることを明らかにした。光学禁制遷移に関する情報は、化学反応過程や多光子過程を含む光学効果に密接に関連していると考えられ、単一分子レベルで微視的に直接観測できることは非常に意義深い。さらに、PiFMは、分子の波動関数の空間構造から生じる単一分子のキラリティを観測できることを実証した。アキラル分子であっても、原子スケールでの局所的な光学応答にキラリティが現れ、それがPiFMによって検出されることを示した。この局所的なキラリティは、分子全体で平均化することで消失するため、遠距離場では検出されない。一方、キラル構造を持つ分子では、キラル像が左右の円偏光対称性を破っていることを示し、PiFMを用いて高い検出感度で観察することができることを示した。このキラルイメージは、単一分子によって誘起される局所的な電場のCDを反映していることを理論的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、分子の波動関数の情報を取り込んだ電場解析手法の実用化を早急に達成することができ、単一分子における光誘起力顕微鏡(PiFM)測定の理論解析を行うことができた。その結果、PiFMにおける原子分解能測定を理論的に実証することができた。PiFMにより、分子内部の分極構造の可視化や、禁制遷移励起、円二色性、単一分子キラリティの観測ができることを理論的に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、単一分子PiFM測定の実現に向け、これまでに得られた知見からPiFM測定実験の可能な試料分子や波長依存性などの実験条件を理論的に探り、PiFM実験研究者らと協力して実験提案を行う。また、分子に対するPiFM測定は、分子自体に働く光圧を反映するものである。本研究の解析手法では、分子内部の構造を分子の波動関数から取り込んでいるため、理論的には分子や分子内部に働く輻射力を解析することが可能である。ナノ構造体近傍に誘起される局在プラズモン場の制御によって、単一分子の光圧操作について、入射光波長依存性や捕捉ポテンシャル、回転運動制御などについて解析を行う。
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Causes of Carryover |
所属機関の移籍により、初期設備が必要となったため、数値解析用の計算機が当初予定していた2台を導入できず、初期設備と合わせて1台しか購入できなかった。また、新型コロナウイルス感染拡大により、学会、会議等がオンライン実施に変更になった。上記の理由により、予算執行計画の変更が必要となり、次年度使用額が生じた。繰越金は、計算機設備の増設・新規導入に用いる。
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[Journal Article] Single-molecule laser nanospectroscopy with micro-electron volt energy resolution2021
Author(s)
Hiroshi Imada, Miyabi Imai-Imada, Kuniyuki Miwa, Hidemasa Yamane, Takeshi Iwasa, Yusuke Tanaka, Naoyuki Toriumi, Kensuke Kimura, Nobuhiko Yokoshi, Atsuya Muranaka, Masanobu Uchiyama, Tetsuya Taketsugu, Yuichiro K. Kato, Hajime Ishihara, and Yousoo Kim
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Journal Title
Science
Volume: 373
Pages: 95~98
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Single-molecule precise laser nanospectroscopy2021
Author(s)
Hiroshi Imada, Miyabi Imai-Imada, Kuniyuki Miwa, Hidemasa Yamane, Takeshi Iwasa, Yusuke Tanaka, Naoyuki Toriumi, Kensuke Kimura, Nobuhiko Yokoshi, Atsuya Muranaka, Masanobu Uchiyama, Tetsuya Taketsugu, Yuichiro K. Kato, Hajime Ishihara, and Yousoo Kim
Organizer
The 9th International Symposium on Surface Science (ISSS-9)
Int'l Joint Research
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