2021 Fiscal Year Research-status Report
時間伸張分光法に基づく超高速温度測定システムの開発
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21K14558
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
入松川 知也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (00828056)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 時間伸張分光 / 温度計測 / 光コム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は時間伸張分散フーリエ分光法(Time Stretch Dispersive Fourier Transform Spectroscopy,TS-DFTS)によるシングルショット分光測定に基づく高速な温度計測システムの開発を目指す。TS-DFTSは、超短パルスレーザーを分散性媒質に透過させることにより、周波数軸情報を時間軸へ変換できることを利用したシングルショット分光法である。これによって原理的に超短パルスレーザーの繰返し周波数の時間分解能で測定が行え、高速な温度測定が可能になると考えられる。本研究では超短パルスレーザーとしてファイバー型の光コムを利用し、1 MHz程度の高速測定を目指す。また、光コムを二台利用することで広帯域なスペクトルを高分解能に測定可能なデュアルコム分光法と同時測定可能な測定系を構築し、TS-DFTS・デュアルコムの両手法で測定されたスペクトルから高精度に温度を決定する手法を開発する。 これまでに、本研究で用いるための偏波保持型光コムを2台開発しデュアルコム分光計として動作させ室温におけるアセチレン分子の吸収スペクトルを測定した。また、TS-DFTS測定を行うための適当な測定系のスペック検討および装置類の選定を行った。具体的には、FROG(Frequency Resolved Optical Gating)を用いて光コムから出射される超短パルスの特性評価を行い、分散性媒質の長さや分散パラメータ、受光系の帯域やサンプリングレートなどTS-DFTS測定に要求されるスペックについて検討した。また、予備的な測定としてシングルモードファイバを分散媒質として、光コムを伝搬させたきの時間波形すなわちTS-DFTS波形の観察をおこなった。これらの予備測定や測定系のスペック検討をもとに、現在TS-DFTSスペクトルの測定にむけて測定系の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はデュアルコム分光と時間伸張分光を同時に測定可能な測定装置の構築を行った。また、開発した偏波保持型コムを用いたデュアルコム分光によってアセチレン分子の吸収スペクトルの測定を行った。時間伸張分光測定を行うための実験系の構築は途中であるが、測定系に要求されるスペックの検討を行い、予備的な測定によって時間伸張分光によって得られる時間波形の観察を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は時間伸張分光測定の測定系構築を完了し、気体分子の吸収スペクトル測定を行い、温度測定に向けて測定系の改良および最適化を試みる。また、デュアルコムスペクトルによって得られたスペクトルとの比較により、温度を高精度に決定する解析方法について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症拡大防止に伴う出勤制限等によって、測定や実験装置の選定等に時間を要し、購入予定であった機器の購入を次年度に繰越したため。現在進めている測定の結果と合わせて適当な実験装置の検討・購入をすすめる予定である。
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