2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of event progression inference model under a severe accident condition in a nuclear power plant using a machine learning and surrogate model
Project/Area Number |
21K14561
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
張 承賢 北海道大学, 工学研究院, 助教 (90782300)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 機械学習 / 異常検知 / シナリオ推定 / ベイズ推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第一原子力発電所事故の経験から、原子力発電所では、事故時電源喪失によって原子炉システム状態を表すデータを入手することが困難になる可能性がある。その結果、事故時のプラントの状態を正確に把握することができず、事故対応に遅れやミスが発生する恐れがある。本研究では、原子炉システムで発生する事故時のシステムの運転状況をシステムから取得されるデータを用いて正く推定する方法を提案することを目的とし、特に福島第一原子力発電所事故の2号機のRCICの運転条件に着目して、原子炉の水位と圧力からRCICの運転条件を逆推定することを目指している。そのため、ベイズ推定を用いてシステム上の異常検知及び異常時のシナリオ(システムの状態)を推定する手法を考案した。ベイズ推論時の尤度(特定の条件下でその観測データが得られる確率)を定めるために、機械学習を用いてラベルありの条件で学習をさせて異常あり、なしを判断する方法を提案した。 しかし、問題として元々予定していたプラントSA解析コードが入手できないため、原案通りの研究随行が困難であり、手法の検証のために代替案(多質点系応答解析)を用いて手法の検証を試みた。多質点系応答解析では、地震時の建屋の応答解析データを取得し、正常時と異常時の差に着目し、こちら用いてをベイズ推定を行うことで、異常の発生、異常発生時の異常箇所の検知、異常程度を推定することができると考えられる。ここで正常時及び異常時の応答解析を機械学習を用いて学習させることで、機械学習をベイズ推論の尤度関数を定めることができる。昨年までは、地震応答解析、異常検知モデルを構築し、今年度は機械学習を用いた尤度関数の構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
元々使用するはずだった米国原子力規制委員会が作ったシビアアクシデント解析コードが所属先変更によるライセンス移行ができず、新たに契約を結ぶ方向で検討したが契約の形式が代わり、関連プログラムが入手できず、研究の進捗に影響が出ている。代替案として、地震応答解析を用いて正常時と異常時の差に着目し、両者の差を機械学習を用いて学習させ、その両者の差に着目した異常の有無検知を検討している。昨年度は代替案の基礎モデルを構築することができ、今年度は機械学習を用いることでモデルを完成させる計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
代替案による手法の検証を試みる。 今回案としては、多質点系応答解析を用いて異常発生時(システムの剛性減少)に異常を検知し、損傷の程度を推定する方法を使って本手法の検証を試みる計画である。昨年度までは原子炉建屋を模擬した構造物の多質点系応答解析を行い、地震時損傷の有無による応答データの差を取得するモデルを構築した。さらにそのデータを用いてベイズ理論に基づき、異常の有無を検知するモデルも構築し、検討を行った。今年度はこちらのモデルをベースに、複雑なシステムの異常検知、及び異常時の異常箇所の検知、異常程度を予測するモデルを構築する計画である。このために重要であるのは、ベイズ推定で用いる尤度関数であり、こちらは正常時と異常時の多質点系応答解析の結果を機械学習を用いて学習させ、尤度カ関数として用いる計画である。このモデルができれば、上記に述べた複雑な系における多様なシナリオ(損傷箇所及び程度)について診断・予測することができると考える。
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Causes of Carryover |
ライセンス導入が計画通りにできず、研究計画の一部の変更を行った。現在、多質点系応答解析のためのソフトを利用し、そこから得られたデータを機械学習を用いて学習させて、事象進展・異常発生の有無を検知する研究を行っている。来年度はこのために、関連するソフトの導入などに、解析を行うためのPC購入のために、引き続き、予算の使用が必要である。
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