2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロX線CTとLA-ICP-MSによる結晶質岩中の核種拡散係数の上限値評価
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21K14569
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
深津 勇太 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 核燃料サイクル工学研究所 環境技術開発センター, 研究職 (80822048)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結晶質岩 / 黒雲母 / マイクロX線CT / 拡散係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
高レベル放射性廃棄物の地層処分で想定される岩盤の一つである結晶質岩において、セシウムなどの放射性核種は収着サイトの豊富な雲母中に濃縮される。しかし、地層環境の長期変遷により、雲母中から結晶質岩全体に拡散し、高濃度の核種漏えいが懸念される。したがって、地層処分の安全性評価のため、雲母中の収着性核種の拡散が、結晶質岩全体の拡散に与える影響を評価する必要がある。本研究では、マイクロX線CTとレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析を用いて、結晶質岩中の雲母構造と核種の移動度を示す拡散係数の関係を明らかにし、その移動度が最大となる雲母の分布条件と拡散係数の上限値を評価することを目的としている。 本年度は、花崗岩、花崗閃緑岩、片麻岩等の多様な結晶質岩試料(直径20mm、長さ5mm)を対象にマイクロX線CT測定、及び重水をトレーサーとした透過拡散試験を実施した。マイクロX線CT画像の解析から、結晶質岩中に分布する黒雲母の含有率、粒子サイズ及び配向角度を評価した。また、透過拡散試験の結果から、重水の拡散係数を取得した。これらの結果から、結晶質岩中の黒雲母の配向方向に対して平行の重水拡散の拡散係数は、垂直方向の拡散係数のおよそ1.5~2倍程度の値であり、黒雲母の配向方向に沿って重水が拡散し易いことが示された。黒雲母の配向方向に対して垂直に拡散する場合、結晶質岩中の重水は黒雲母を迂回する経路を移行し、拡散距離が長くなるため、その拡散係数が低くなったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初計画通りにマイクロX線CT測定による黒雲母分布の評価方法の構築、及び透過拡散試験システムの開発を実施し、遅れも無く順調に進んだため、おおむね順調に進展している、と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
黒雲母分布を取得した結晶質岩を対象として、Csイオン等の収着性トレーサーによる透過拡散試験に着手する。透過拡散試験後、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析を用いたマイクロスケールのトレーサー濃度分布を取得し、黒雲母分布とトレーサー濃度の位置情報を対応させることにより、黒雲母とその他の鉱物中のトレーサー拡散係数の評価を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた国や自治体及び所属研究機関の方針に従い、当初予定していたマイクロX線CT装置利用のための出張を控えたこと等により、本年度の支出額が計画に比べて少なかったことから次年度使用額が生じることとなった。次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、次年度に計画している装置利用に係る費用や出張に係る費用として使用する。
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