2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of Photosensitivity by Difference in Molecular Size and Its Application to PDT
Project/Area Number |
21K14597
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井手 雄紀 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任助教 (40883070)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子サイズ制御 / ポリケトン / calix[3]型環状化合物 / 結晶構造 / 吸収特性 / 環拡大反応 / 面性不斉 |
Outline of Annual Research Achievements |
化合物の分子サイズの違いが腫瘍に対する集積特性(EPR効果)を変化させることが知られており、精密に分子長を制御可能な化合物を利用することで系統的な評価が可能となる。段階的な有機合成手法を活用し、繰り返しユニットを持つ鎖状単分散ポリケトンの2-10量体および最大20量体までの単離に成功した。4量体までは固有の結晶構造を示したが、5・6量体では水素結合の存在により類似のらせん構造が得られており、5量体以降の融点は単調に増加することが確認された。ポリケトンの分子末端にカルボキシル基やピリジン誘導体を導入した結果、2量体や3量体においてもらせん骨格を示す結晶構造が得られた。鎖状ポリケトン誘導体から形成される環状化合物についても取り組んだ。3つのピロールで形成された環状化合物calix[3]pyrroleは構造に大きな環歪みを有しており、より分子サイズが大きいcalix[4]pyrroleなどでは観測されない約270 nmでの吸収ピークの存在が確認された。calix[3]pyrrole類縁体を検出するプローブとしての応用が期待される。構成される芳香環化合物が全て異なるcalix[1]furan[1]pyrrole[1]thiopheneは環反転を伴うラセミ化の進行が確認された。N-メチル化によりラセミ化の抑制に成功し、エナンチオマー体の単離ならびにその絶対構造も明らかとなった。酸性条件下で環拡大反応が進行し、繰り返し骨格の構成が保持された分子サイズの異なるcalix[6], [9], [12]型大環状化合物の単離に成功した。 ポリケトンを基盤とした様々な分子サイズを有する鎖状・環状化合物の合成、その構造解析ならびに分光学的測定、計算化学的手法により特性評価に取り組んできた。この知見を活かして、分子長に応じたEPR効果の検証や光線力学療法(PDT)研究への応用に取り組む予定である。
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Remarks |
キラルなcalix[3]pyrrole類縁体から風車型構造を有する特大なcalix[12]型環状化合物の発見 https://www.icredd.hokudai.ac.jp/ja/research/8735
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