2021 Fiscal Year Research-status Report
分子クラウディング環境を利用した超分子ポリマーの集合制御
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21K14599
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
雨森 翔悟 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 助教 (80736736)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / 分子集合体 / ポリジメチルシロキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
超分子ポリマーは極めて多数の分子が非共有結合で結合した分子集合体であり、非共有結合の可逆性に由来した刺激応答性や自己修復性を持つ機能材料として期待されている。近年、熱力学的最安定である超分子ポリマーの機能だけでなく、その過程にある非平衡状態を利用した機能(分子量制御や時間制御)が注目を集めている。本研究では、分子集合体形成や形成過程に及ぼす高分子添加の効果について明らかとし、高分子添加による非平衡状態や準安定状態を利用した機能発現を目指した。 添加する高分子としてポリジメチルシロキサン(PDMS)、分子集合体を形成する分子としてC3対称性のオリゴ(フェニレンエチニレン)誘導体(OPE)を用いた。OPEは集合体形成を促進する水素結合部位としてアミド基、PDMSへの相溶性を向上させるためにトリス(トリメチルシリルオキシ)シロキシ基の導入を行っている。ドデカメチルペンタシロキサン(DMPS)を溶媒として用い、PDMS添加した際のOPEの吸収スペクトルの温度依存性を評価した。結果、PDMSの添加の有無やPDMSの分子量に依存して、温度による吸収スペクトルの変化に違いが観測された。OPEの集合体形成や形成過程へのPDMSの影響が示唆される結果が得られた。 またヘキサン、PDMS、オリゴジメチルシロキサン(ODMS)を溶媒として用い、様々な電荷移動錯体の会合定数を求め、PDMSやODMSの溶媒効果について評価を行った。結果として、PDMSやODMS中では芳香族ドナーアクセプター相互作用が強く働くことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子集合体を形成する分子としてアミド基とトリス(トリメチルシリルオキシ)シロキシ基を有するオリゴ(フェニレンエチニレン)誘導体(OPE)を合成し、PDMS存在下の集合体形成特性の評価を進めた。結果として、OPEの分子集合体形成に及ぼす、PDMSの添加効果が示唆された。高分子添加による準安定状態を利用した機能発現を実現するための分子系として有用であることが期待される。以上のことから本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
オリゴ(フェニレンエチニレン)誘導体(OPE)の集合体形成特性について、蛍光スペクトルや動的光散乱等により詳細な評価(準安定状態の評価等)を行い、高分子添加が集合体形成に及ぼす影響について明らかとする。また、集合体を形成する分子骨格としてナフタレンジイミドやペリレンジイミド等を用い、母骨格の影響や高分子添加効果の一般性について明らかとする。
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Research Products
(1 results)