2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子戦略に基づく高輝度・高異方性円偏光発光分子の創出とバイオセンシング応用
Project/Area Number |
21K14601
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
重光 孟 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (00791815)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 円偏光発光 / シクロデキストリン / ピレン / エキシマー / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ディスプレイ、通信、情報処理等の様々な光技術が社会実装され、世界を大きく変革させてきた。光はエレクトロニクス分野のみならず、エネルギーやバイオイメージング分野などに利用され、現在も次世代光技術の創出を目指した研究が活発に行われている。本研究では、回転しながら進行する特殊な光である円偏光を発する分子の開発に取り組んだ。円偏光には左回転と右回転の二種類のキラルな光が存在し、左回転と右回転の発光を使い分けることで新たな価値の付与が可能である。この光は、三次元表示ディスプレイ、次世代情報通信技術、バイオセンサー、高度セキュリティ印刷、医療診断への利用など広範な領域での応用が期待され、様々な円偏光発光(CPL)マテリアルの開発が活発に行われている。 令和4年度は、前年度に得られた成果をもとにして多様な発光波長を有するエキシマーCPL色素の創製に成功した。また、ゲスト分子認識によってCPL特性が大きく変化することも見出した。期間全体として、本研究では、環状分子(シクロデキストリン(CyD))を利用した『空間的に制限されたエキシマー』を生み出す独自の戦略によって、優れたCPL分子を創出することに成功した。CyD環上にピレンなどの発光団を複数修飾することで、立体的に混み合った状況を生み出し、空間的に制限されたエキシマーを創り出し、優れた異方性を示すCPLを達成した。また、本分子ではCPL異方性のみならずに『多数の色素に由来する優れた光吸収特性』『振動失活抑制による量子収率向上』『市販化合物からの簡便な合成』が可能であった。さらに、本研究で創出するCPL分子は内部空間を生体分子認識の場として利用することができ、生体分子のCPLセンシングを世界に先駆けて達成することに成功した。CPLと超分子化学を融合させた本研究は、最先端バイオテクノロジーへの足掛かりとなることが期待できる。
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