2021 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic elucidation of the mechanism of photomechanical effects of photoreactive molecular crystals
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21K14603
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
北川 大地 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (50736527)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光反応性分子結晶 / フォトメカニカル応答 / 協同的光反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、光応答性分子結晶のフォトメカニカル応答に着目し、分子一つ一つの微視的な変化と巨視的な物性変化がどのように関連しているかを明らかにすることを目的としている。本年度は、9-メチルアントラセン(9MA)をモデル化合物とし、まず薄膜単結晶中における光反応過程を吸収スペクトル変化で追跡することを試みた。9MAの薄膜単結晶中における光反応は、溶液中とは異なり、周囲の分子の影響を受ける「協同的光反応過程」が存在することを明らかとした。また、多結晶薄膜中の光反応ダイナミクスと比較することにより、この協同的光反応過程は結晶欠陥の影響を強く受けることが示唆された。さらに、吸収スペクトル変化と結晶サイズ変化の同時測定を行ったところ、光反応の進行度合いと結晶のサイズ変化が比例することを新たに見出した(Angew. Chem. Int. Ed., 61(2), e202114089 (10 pages) (2022).)また、6π電子系高速フォトクロミック分子の機能開拓にも取り組んだ。高い光反応性と高速熱退色性を両立させた分子の開発(New J. Chem., 45(40), 18969-18975 (2021).)や、トップダウンアプローチおよびボトムアップアプローチによるナノ粒子の作成(Materials Advances, 3(2), 1280-1285 (2022).)について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9-メチルアントラセンをモデル化合物として、薄膜単結晶中における吸収スペクトル変化と結晶形状変化の同時計測に成功し、光反応ダイナミクスとフォトメカニカル応答の相関を明らかにすることに成功した(Angew. Chem. Int. Ed., 61(2), e202114089 (10 pages) (2022).)。この研究成果は論文誌のカバーにもクローズアップされた。また、他の光反応性分子についても興味深い現象を見出しており、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
9-メチルアントラセンについて行った測定手法および解析手法を他のアントラセン誘導体に拡張することで、結晶中における協同的光反応が分子構造、結晶構造、結晶外形、光照射強度などに対してどのような依存性を示すかを明らかにする。さらに、フォトメカニカル応答との関係を明らかにすることで、微視的な光反応ダイナミクスと巨視的な物性変化との相関関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、学会活動等に係る旅費などが必要なくなったため次年度使用額が生じた。次年度の助成金と合わせて、有機合成に必要な物品費に使用する。
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Research Products
(39 results)