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2021 Fiscal Year Research-status Report

光-物質強結合状態による新奇スピン制御法の開拓

Research Project

Project/Area Number 21K14605
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

岡田 大地  国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (10880346)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2023-03-31
Keywordsスピン物性 / 磁気円偏光二色性 / 第二次高調波発生 / ゼーマン分裂 / 光共振器 / 強結合
Outline of Annual Research Achievements

微小光共振器によって作り出される光-物質強結合状態が、スピン物性に与える影響を評価することを目的とし、研究を行なった。本年度は、物質に対し磁場を印加した際に生じる円偏光二色性(CD)および、キラル物質を円偏光励起した際の非線形光学応答の評価を主に行なった。前者は、強結合状態が与えるぜーマン分裂への影響を、また後者は、非線形磁気感受率に対する影響を調査するために研究を行なった。また材料としては、ペロブスカイト半導体を用いた。
共振器構造を導入したペロブスカイト半導体に対し、磁場を印加した状態にて円偏光二色性の評価を行なった。まずガラス基板上に作成した薄膜において磁場(1~1.6テスラ)印加することで、励起準位におけるゼーマン分裂によって生じる、CDスペクトルの発現を確認した。一方で強結合状態をとる薄膜は、元々のエネルギー準位に加え、ラビ分裂準位においてもゼーマン分裂が観測された。強結合によって生じるラビ分裂準位もスピン縮退を有することを意味している。また、ラビ分裂準位におけるゼーマン分裂エネルギーは、元の薄膜の励起準位が示す分裂エネルギーよりも大きいことが明らかになった。
キラリティ有するペロブスカイト半導体に対し、共振器構造を組み込み、強結合状態における円偏光励起第二次高調波発生(SHG)の評価も行なった。その結果、強結合状態におけるラビ分裂準位の高エネルギー側バンドにて、非強結合状態と比較し、SHGの発生効率および円偏光に対する応答性が向上することが明らかになった。また、発生するSHGの波長板回転角依存性の評価を行なったところ、強結合状態によって物質の非線形電気感受率だけでなく、非線形磁気感受率も影響を受けることが明らかになった。
強結合状態が、スピン関連物性において、有効的な物性制御術であることが期待できる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、ゼーマン分裂および非線形磁気感受率と、スピンが関わる二つの物理因子に関して、強結合状態の影響を探索することができた。強結合状態がそれらの特性を向上させる有効的な量子状態であることが明らかになった。
また本年度は、円偏光ポラリトン凝縮を実現するための、前準備である、キラルペロブスカイト半導体やキラル有機半導体を用いた光共振器作成および強結合状態の評価まで行なっており、次年度では、凝縮状態実現に向けた実験を展開する予定である。同様に、共振器中に電極を組み込んだ素子の開発および光電流測定のトライアルも今年度完了しているため、次年度では、円偏光励起を用いた光電変換過程の評価も行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

今後、まず、円偏光ポラリトン凝縮の実現を目指し研究を遂行する。現在、キラルペロブスカイト半導体またキラル有機半導体薄膜において強結合状態の実現まで観測している。それらの試料を、短パルスレーザーにて励起することで、ポラリトン密度を高め、ポラリトン凝縮転移を実現させる。実験的には、発光の非線形増幅を観測することによって確認する。クライオスタットの搬入も今年度終わりに完了したため、低温発光測定等も行う。また、CCDカメラなどを用いた円偏光凝縮発光の空間広がりなども評価する。
また、キラルペロブスカイト半導体に共振器構造を組み込んだ光電変換素子の作成も行い、光電流特性の評価を行う。特に、円偏光励起した際に生じる光電流に着目し、強結合状態が与える、生成電流の大きさや向き、励起波長への応答性への影響を評価する。強結合状態を利用することによる、スピン偏極電流の効率的生成や、スピンバンド分裂の変調を目指し研究を遂行する。

Causes of Carryover

本年度の一番の目的は、分光用クライオスタットの購入であった。そのために、予算の大部分を費やし、わずかな残額が生じた。本申請は、来年度も継続されるため、生じた残額は、来年度、実験を行う上で必要になる試薬や消耗品等の購入に利用しようと考え、次年度に回すことにした。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 2,6‐Dicarbonitrile Diphenyl‐1λ 5 ‐Phosphinine (DCNP)-A Robust Conjugated Building Block for Multi‐Functional Dyes Exhibiting Tunable Amplified Spontaneous Emission2021

    • Author(s)
      Balijapalli Umamahesh、Tang Xun、Okada Daichi、Lee Yi‐Ting、Karunathilaka Buddhika S. B.、Auffray Morgan、Tumen‐Ulzii Ganbaatar、Tsuchiya Youichi、Sandanayaka Atula S. D.、Matsushima Toshinori、Nakanotani Hajime、Adachi Chihaya
    • Journal Title

      Advanced Optical Materials

      Volume: 9 Pages: 2101122~2101122

    • DOI

      10.1002/adom.202101122

  • [Journal Article] Electron‐Affinity Substituent in 2,6‐Dicarbonitrile Diphenyl‐1λ5‐Phosphinine Towards High‐Quality Organic Lasing and Electroluminescence under High Current Injection2021

    • Author(s)
      Tang Xun、Balijapalli Umamahesh、Okada Daichi、Karunathilaka Buddhika S. B.、Senevirathne Chathuranganie A. M.、Lee Yi‐Ting、Feng Zhao、Sandanayaka Atula S. D.、Matsushima Toshinori、Adachi Chihaya
    • Journal Title

      Advanced Functional Materials

      Volume: 31 Pages: 2104529~2104529

    • DOI

      10.1002/adfm.202104529

  • [Presentation] 光共振器中における有機・無機ハイブリッドペロブスカイトのキラル非線形光学効果の評価(2022

    • Author(s)
      岡田大地, 荒岡史人
    • Organizer
      第69回応用物理学会春季学術講演会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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